この記事は、「NEWT Product Advent Calendar 2024」Day11 および「PM(プロダクトマネジメント/プロジェクトマネジメント) Advent Calendar 2024」Day16の記事となります。
こんにちは!「NEWT Product Advent Calendar 2024」11日目は、令和トラベル PMのTajimaが、Backend エンジニア Sembaからバトンをもらい、”スタートアップ×旅行”という領域に飛び込んだPMの奮闘について紹介します。ぜひ最後までご覧ください!
はじめに
まずは、私の自己紹介をさせてください。2019年に株式会社リクルートに新卒入社し、5年半にわたり転職エージェントビジネスに従事。プロダクト開発の要求整理から、ボードメンバーへの決裁取得、プロダクトリニューアルのPMなど、幅広い経験を積んできました。
しかし、デジタルの力を駆使して急成長を遂げる企業で自身のスキルを試したいという思いが強くなり、2024年10月に海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」を提供する令和トラベルに参画しました。現在は、社内の基幹システムであるトラベルマネジメントシステムのプロダクトマネージャー(PM)として活動しています。
この記事では、令和トラベルでのプロダクトマネージャーとしての働き方や、あらたな業界への挑戦を通じた学びを等身大の視点でお伝えします。
全てのプロダクトマネージャーの方々、そして令和トラベルや旅行業界、テックカンパニーに興味をお持ちの皆様に、この記事が何かしらの気づきや示唆を与えられれば幸いです。私の経験が、同じように新たなチャレンジを考えている方々の背中を押す一助となれば嬉しく思います。
それでは、旅行業界という未知の領域に飛び込んだプロダクトマネージャーの奮闘記をお楽しみください。
旅行業界を選んだ理由とNEWTの魅力
旅行には、人々の人生を豊かにする力があると思っています。あたらしい文化と出会ったり、歴史に触れたりすることで、次のチャレンジへのエネルギーを得られることもあります。
一方で、日本はビザなしまたは到着時ビザで入国できる国・地域の数を基準に評価するパスポートランキングが一位(旅行しやすい)にもかかわらず、年間海外旅行者数が他国に比べると少なく、パスポート取得率も20%弱と低いです。
つまり、日本人の海外旅行はまだまだ伸びしろがあるわけです。なぜこうなっているのかを紐解くと、結局のところ、海外旅行は『面倒』『高い』『国内でも十分楽しい』と感じる人が多いのだと思います。じゃあ「海外旅行をもっとおトクで簡単にしちゃおう」っていうのが令和トラベルが目指している世界観です。
海外旅行にはかかる手間やコストがあります。
パッケージツアーは便利ですが、選択肢が限られていたり、価格が高かったりします。一方で、個人手配は自由度がありますが、準備に手間がかかり、トラブルが起きた時の対応が難しいこともあります。
実は、パッケージツアーの原価自体はそれほど高くありません。価格が高くなる主な理由は、ツアーを作る過程での人件費です(それだけではないが)。この人件費を減らせれば、もっと手頃な価格でツアーを提供できるはずです。また、ツアーの元になるフライトやホテルの仕入れを自動化していけば、より多様な選択肢を提供できる可能性があります。
ここで注目したいのが、AI技術の進化です。特に最近ではLLMなどの技術が進み、人手に頼っていた複雑なプロセスを自動化できるようになってきました。この技術革新を活用して、旅行業界にあたらしい風を吹き込めるはずだと考えています。
NEWTの魅力は、何よりもカスタマー体験を大切にしたプロダクト作りにあります。見やすいツアー情報の提供や簡単でスムーズな予約プロセス、旅行中も安心して過ごせるサポートなど、お客さま第一の姿勢を貫いています。
私が挑戦したいことは、このパッケージツアー業界にあらたな変革を起こすことです。「こんなことまでできるんだ!」という驚きを提供し、多くの人々に海外旅行の楽しさを届けたいと思っています。令和トラベルでプロダクトマネージャーとして働くことで、この夢の実現に少しでも貢献できればと思っています。
直面した壁
スタートアップに参画してから2か月。
あたらしい環境、あたらしい業界での挑戦はやはり一筋縄ではいきませんでした。特に印象深かった壁について、振り返ってみます。
旅行業界ならではのものが多すぎる
飛び込んだ当初、旅行業界特有の用語や仕組みが次から次へと押し寄せ、最初は何もかもが未知の世界でした(今でも未知が多い。。笑)
例えば、専門用語や業界のルール、予約データの取り扱い方法など、一つひとつがあたらしい学びの連続。まさに「わからんことしかない」という状況に飛び込みました。
旅行業界の専門用語の一例
- エイブルベーカー エイブルべーカーとは主に旅行会社や航空会社で働いているスタッフがアルファベットの誤認識を防ぐために使用する独特なアルファベットの読み方です。
例:AであればAble(エイブル)、QであればQueen(クイーン)
- 1UP(ワンアップ)、2UP(ツーアップ)
旅行業では「この人数以上ではないと予約ができない」というものを取り扱うことがあります。1名からであれば1UP、2名からであれば2UPという具合です。
- PEX(ペックス)運賃とIT運賃
PEX運賃とは、航空会社が定めた正規割引運賃で、IT運賃と異なり旅行会社だけでなく航空会社も直接消費者に販売することができる個人向けの運賃です。予約・購入期限、滞在日数、ストップオーバー回数などに制限があり、エコノミークラスの場合、低廉な運賃は予約変更ができないことや、取り消しには手数料がかかることが多いです。
これらの用語を理解するだけでなく、旅行業の仕組みも把握する必要がありました。例えば、旅行会社と旅行代理店の違い、OTA(Online Travel Agent)の台頭など、業界の構造や最新トレンドを学ぶことが不可欠でした。
ステークホルダーもかなり多く、それぞれの役割が何か?を理解することも時間がかかります。
これらの複雑な概念を理解し、日々の業務に適用していくことは、旅行業界のプロダクトマネージャーとして成長する上で不可欠な過程でした。
幸いにも、会社のオンボーディングプロセスがとても充実しており、インプット環境は申し分ありませんでした。とはいえ日々わからないことに直面するので、メンタルが折れそうになりますが、一つずつ着実に焦らずに身体に染み込ませていくようにしています。
(当たり前ですが、)大事なのはわからないことをわからないままにしないこと
スタートアップで求められるスピード感と、それを実現する鳥の目/虫の目
スタートアップ特有なのか弊社特有なのか、プロダクト開発のスパンがとにかく短いです。ほぼ毎日のようにリリースがあり、そのスピード感に驚かされました。
このスピードを維持するためには、常に長期的なビジョンを持ちながら、短期の目標を設定し実行に移す必要があります。例えば「1年後にはこうなっていたい」「半年後にはこの機能が動いているべき」という未来の姿を想定しながら、3ヶ月後の具体的な行動を計画していく。このプロセスは、ただがむしゃらに動くだけでは成し遂げられません。
まだ上手にできている自信はありません。日々「ちょっと先の未来でこの機能が役にたつイメージを持てるか?」と自問自答しながら手元を動かしています。
さらに意思決定の重さも大きな特徴だと感じています。自分が要求定義や要件定義を行った内容が、そのままプロダクトとして世に出ていきます。もちろん上長の確認は入るものの、前職のような複数人での多角度なレビューは難しいです。
その分、自分が主体的に責任を持つ必要があるなと。
「この判断が本当に正しいのか?」
「この方向で進んで大丈夫か?」
常に問いかけ、覚悟を持って進める必要があります。これまで以上に責任感が求められると同時に、それを行動に移す力や課題を解決する能力が求められているのを強く感じます。
成長著しい場所での未来イメージ保持およびアップデートとそこに向けた手元タスクのスピードUpが必要
直近のテーマ:値付けを科学・粗利益率を管理できる状態に
令和トラベル内での直近の私の担当テーマは、「NEWT上での販売価格をいい感じにして、粗利益率をしっかり管理できる状態にすること」です。
旅行会社にとって粗利益率の管理は、単なる財務指標の一つではなく、事業の存続と成長を左右する重要な要素です。
前職が人材エージェント業だったことから、せっかくなので人材採用と旅行の業界構造の違いを示しつつ粗利益率がなぜ大事なのかを説明します。
業界構造の違い
ㅤ | 旅行会社 | 人材エージェント会社 |
商品の価格設定 | 仕入れに対して3〜10%強の粗利を載せる | 候補者の理論年収の25〜35% |
主な原価 | 航空券、ホテル等のパッケージツアーを構成する要素の仕入れ | 人件費 |
ビジネスモデル | 前課金(旅行の前に支払い) | 成果報酬(採用・入社が決まった段階で支払い) |
なぜ旅行業界で粗利益率が大事なのか
- 薄利多売構造 旅行業界は典型的な薄利多売ビジネスです。 粗利益率が低いため、わずかな変動が大きな影響を及ぼします。
- 原価の変動リスク 旅行会社の主な原価は航空券やホテルなどの外部要因に依存しており、これらは需要や季節、為替などによって大きく変動します。 そのため、原価の変動に左右されやすく、粗利益率の管理が重要となります。
- 消費者向けサービスの特性 人材採用と異なり、旅行業界はToC(消費者向け)サービスです。 消費者は価格に敏感であることが多く、競合他社との価格競争も激しいため、適切な販売価格設定が非常に重要です。
要は全然毛色が違う業界において、変数が多い難題に直面することになったわけです。
取り組みは現在進行形ですが、自分なりに以下のように進めています。
- 現状の粗利益率を分析できる状態にする 現時点だと、パッケージツアーの正しい原価を分析できる状況ではないです。 まずは分析して現状把握ができるようにします。
- 競合他社と自社の販売価格を比較できる状態にする 商品売上において需要と供給が大事であり、他社がどんな供給をしているのかを知る必要があります。今まで他社の情報を正確に網羅的に把握することはできていませんでした。
- 販売価格を設定する仕組みを刷新する 上記のインプット情報が手に入れられた時に価格を設定する方法は今とは異なるはずです。 先に得られるであろう情報のイメージを抱きながら、手元で進められる検討をしています。
- 上記を並走させる スピードを最大限優先して、分割し並走させています。
このテーマで得られた学びは、また別の機会でご紹介したいと思います。
プロダクトマネージャー目線での令和トラベルの魅力
プロダクトマネージャーは、社内の多くの方と協働することでバリューを発揮できるポジションです。参画して間もないですが、そのプロダクトマネージャーの視点から見る令和トラベルの魅力をご紹介したいと思います。
チームメンバー:旅行体験を進化させられると確信できる
令和トラベルのメンバーは、技術への探求心と「どうすれば旅行者の体験が良くなるか?」という顧客志向の両面を持ち合わせています。特にエンジニアの皆さんには日々助けられており、常に尊敬の念をいただいています。
チーム構成と協働の仕方:良い意味で敷居がない
スタートアップといえど、チーム構成はしっかりとあります。役割分担も明確で、それぞれの得意分野を活かして進めています。ですが、特筆すべきは「良い意味で敷居がない」という点です。
どのチームの人に対しても気軽に話しかけられるし、情報の共有や相談もスムーズです。「自分のチームだから」「違うチームだから」といった垣根を感じることはほとんどありません。このフラットな文化が、スピード感のある意思決定や協働を支えているように思います。
これは手厚いオンボーディングにも現れていると思います。逆にいうと、だからこそ自分の専門領域はどこなのか?そこでバリューを発揮するにはどうすれば良いのか?を常に考えさせられます。
意思決定プロセス:報告&共有のバランスが絶妙
意思決定のプロセスも非常に合理的です。大きな方針や重要な判断については、CEOの篠塚にしっかりと報告&共有を行います。一方で、各論に関しては現場の判断に委ねられており、ガンガン進めてOKな環境です。
企画段階での細かな調整やタスクの優先順位付けは、自分の裁量で進められるので、スピード感を持って取り組むことができます。その反面、「報告を怠って大きなミスをする」というリスクもあるため、バランス感覚が重要だと感じています。
おわりに
「旅行業界×スタートアップ」というドメインに参画したことで感じたことをまとめたいと思います。
旅行に関して
- 旅行業界にイノベーションをもたらすことで、社会に大きな価値を提供できる
- 旅行業界ならではのシステムの複雑さ・ステークホルダーの多さが進化の壁になっているが、逆にそれを乗り越えるることができれば大きな達成感を得られる
- 進化の壁を越えるためのHowとして、最先端のテクノロジー(主にAI)との相性がとても良い
スタートアップに関して
- 会社の急成長を肌で感じられる
- 一人一人に求められるスキルや意思決定の質が高いので、それに応える面白さがある
令和トラベルに関して
- チーム内外のコミュニケーションがしやすい、それによる意思決定スピードの早さが抜群
- 高い技術的な要求を実現していけるレベルの高いチームメンバーが揃っている
この選択が正解だったかどうかは自分次第ですが、やるべきことに集中し、自分ならではの力を発揮することで、必ずあらたな景色が見えてくると信じています。引き続き、”奮闘” を続けます。
「NEWT Tech Talk」のお知らせ
令和トラベルでは、技術的な知識や知見・成果を共有するLT会を毎月実施しています。発表テーマや令和トラベルに興味をお持ちいただいた方は、誰でも気軽に参加いただけます。
2025年1月のテーマは ” プロダクトマネジメント ”
新年第1弾のNEWT Tech Talkは、NEWTのプロダクト開発を牽引するPM 藤沼・Backendエンジニア兼PM 木村の2名が、”カスタマーファーストを実現するプロダクトマネジメントの舞台裏” と題して、LT形式で発表を行います。
令和トラベルでは一緒に働く仲間を募集しています
この記事を読んで会社やプロダクトについて興味をお持ちいただけましたら、ご連絡お待ちしています!フランクに話だけでも聞きたいという方は、カジュアル面談も実施できますので、お気軽にお声がけください。
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NEWTでは、12/26 お昼11:59まで、2024年最後のおトクなセールを開催中です!
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
次回の「NEWT Product Advent Calendar 2024」Day12は、QAエンジニアのOsuが担当します。
テスト自動化に本格的に取り組み出した令和トラベルのオンデマンドデプロイへの道のりをテーマに紹介する予定です。次のブログもお楽しみに!