NEWTはなぜ「AI前提」で事業を設計し直すのか ── NEWTプロダクト戦略 2026 Ver.

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Shotaro Magara
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Apr 9, 2026
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こんにちは!令和トラベル執行役員CPOのまがらです。
 
2026年4月5日、令和トラベルは創業5周年、旅行アプリ『NEWT(ニュート)』はサービスローンチから4周年を迎えました。
日頃よりご利用いただいているカスタマーのみなさま、応援してくださっているみなさま、そして令和トラベル・NEWTに関わってくださっているすべてのみなさまに、心より感謝申し上げます。
 
4月6日から5日間にわたり 『NEWT 4th ANNIVERSARY CALENDAR』 をお届けしてきました。
CSO宮澤の「旅行が、もっと身近になる世界を。── 令和トラベル5周年によせてに続いて、このブログではNEWTのこれからのプロダクト戦略について話します。
 
 

1. 創業以来掲げてきた「業務自動化」という戦略

令和トラベルは創業時から、旅行代理店業務の全てをソフトウェアで自動化することを戦略の中心に据えてきました。
これまで掲げてきたトラベルマネジメントシステムによる自動化構想
これまで掲げてきたトラベルマネジメントシステムによる自動化構想
 
旅行代理店の業務は、本質的に複雑です。
ホテルやフライトなど旅行商材ごとの時々刻々と変わる在庫・料金を適切に管理したうえで、それらを組み合わせてツアー商品とするために旅程を組み立て、日付ズレを考慮して料金や在庫を算出する。
さらに販売後は予約手配、問い合わせ対応、渡航サポートと、サービス運営に必要な業務は多岐にわたります。
この複雑さを、これまでの旅行業界では「人手」で回してきました。そのためスケールするほどにオペレーションコストが膨らみ、品質の維持が難しくなり、コスト構造的にも人件費が重くのしかかりつづける。これは業界構造的な課題でした。
 
令和トラベルでは創業からの5年間、この業務を徹底的に因数分解して自動化してきました。
一つひとつの業務を最小単位まで分解し、システム化できるものから順にソフトウェアに置き換えていく。
地道な作業ですが、これを愚直にやり続けた結果として、全世界で15万ツアー以上の品揃えや、業界水準を大きく上回る生産性を実現することができました。
 
ルールで記述できる業務は自動化した。
しかし、「判断」が伴う業務 ── たとえばカスタマーの曖昧な問い合わせへの対応や、市場状況を踏まえた価格の最適化、非定型なイレギュラー対応など ── は、どうしても人に依存したままでした。
プロダクトビジョンとして掲げていた”完全自動化”には程遠いのが現実でした。
 
 

2. 理想が現実になった ── 事業の設計思想をAI前提で再設計

この1〜2年のAIの進化が、その現実を根本から変えました。
大規模言語モデルの急速な発展により、「曖昧な判断」「文脈の理解」「非定型な対応」── かつて自動化不可能だった領域が、現実的に自動化できる対象となりました。
このAIの発展により、令和トラベルが5年間かけて積み上げてきた業務設計と業務ロジック、業務データの集積が、そのままAIエージェントへの業務委譲の設計図となり、掲げてきた完全自動化というビジョンが、実行可能な戦略となりました。
 
僕たちがこれから取り組むのは、既存の業務にAIを「貼り付ける」ことではありません。
事業の設計思想そのものをAI前提で書き直すということです。
これまでは「人間が業務を遂行し、AIがサポートする」というモデルでしたが、この主語を逆転させ、「AIが業務を自律的に実行し、人間は例外対応と意思決定に集中する」
この転換こそが、AIネイティブ化の核心で、令和トラベルのこれからのプロダクト戦略の根幹になります。
 
具体的には、プロダクトを3つの層で再設計しています。
AIを前提に自動化構想を大幅刷新した3層アーキテクチャのイメージ図
AIを前提に自動化構想を大幅刷新した3層アーキテクチャのイメージ図
 
第1層:コアドメインロジック層
NEWTの業務基盤であるトラベルマネジメントシステムを、AIが正しく動くための土台のレイヤーとして再設計しています。
これは予約データ、在庫・料金情報、仕入れ、プライシングロジックなど、事業の根幹となるデータと確定的なビジネスロジックの集積です。
料金計算や在庫判定のように「揺らいではいけないルール」は、AIに推論させるのではなく、確定的なルールとして固定化する。
その上でAIエージェントに正しい文脈とデータを渡す。ここが整っていなければ、どれだけ優秀なAIを載せても意味がありません。
 
第2層:AIエージェント層
第1層の確定的なルールだけでは自動化できなかった領域を担うレイヤーです。
状況に応じた判断、カスタマーごとの文脈に沿った対応、定型化しきれない業務 ── これまで人にしかできなかったこれらを、AIエージェントが自律的に計画し、実行する。
商品造成、プライシング、カスタマーサポート対応、コンテンツ生成など、それぞれの業務領域に特化したエージェントが、第1層のデータとロジックを参照しながら動きます。
人間が担うのは最終的な判断と意思決定であり、そこに至るまでの計画と実行はエージェントが完結させる。これにより、自動化可能な業務の水準そのものが一段拡張します。
そしてここが重要なのですが、エージェントは実行して終わりではありません。実行結果を評価し、フィードバックを取り込み、精度を上げ続ける。使われるほどに賢くなる自己改善の仕組みを、この層に組み込んでいきます。
AIエージェント層の各エージェント群は令和トラベルのあたらしい社員として各部署で責任をもってエース社員へと育成していきます。
 
第3層:カスタマーエクスペリエンス層
AIエージェントが生み出した価値を、カスタマーが触れる体験として届ける層です。
パーソナライズされた提案、即時応答のサポート、最適化された価格。最終的にはこの層を通じて、カスタマーに届きます。
 
この3層構造で僕たちが意識しているのは、最終的にカスタマーが触れる体験層において、裏側がAIか人かはどうでもいいということです。
旅行は高額な買い物であり、最終的な意思決定はカスタマーのものです。AIが代替するのは判断の補助と業務の実行であり、カスタマーの意思決定そのものではない。
カスタマーとって大事なのは、体験の質そのものです。第1層と第2層を徹底的に磨くのは、この第3層の体験を最高のものにするためです。
 
基盤を整え、その上でAIエージェントが自律的に動き、改善し続け、その結果としてカスタマー体験が変わる。この3層が積み上がることで、はじめて「AIネイティブな旅行代理店」が成立します。
 
 

3. ビジネスモデルが変わる

AIネイティブな旅行代理店が成立すると、何が変わるのか。
僕たちは、ビジネスモデルそのものを変革できると考えています。
 
従来の旅行代理店は、売上が伸びれば人が増え、人が増えればコストが増える。事業規模と人員が比例する構造から逃れられませんでした。
サービス品質を上げようとすればコストが上がり、コストを抑えようとすれば品質が犠牲になる。この構造こそが、旅行業界のビジネスモデルの限界でした。
 
しかし、ここまで述べてきた3層構造のもとでは、この比例関係そのものを断ち切ることができる。売上は伸びるが、人員は比例しない。これは業務効率化の話ではなく、ビジネスモデルの発明です。
僕たちは中期事業計画において、現在の約20倍の売上高を、現在の約1.5倍の人数で実現する計画を織り込んでいます。
一人あたり生産性で言えば、文字通り10倍以上。ちょっとした業務改善の積み重ねで到達できる数字ではありません。
5年間の蓄積とAIエージェントによる自律実行の掛け算で、構造的に到達可能な水準だからこそ、会計レベルで計画に織り込んでいる。希望的観測ではなく、実行計画として。
プロダクト戦略が事業の再設計につながる理由はまさにここに存在します。
 
 

4. NEWTの旅行体験が、根本から変わる

AIネイティブな旅行代理店が成立することで実現できることは、ビジネスモデルの転換にとどまりません。
僕たちがAIを駆使して泥臭く自動化構想を進める理由の全てはカスタマーのあたらしい旅行体験を創造することにあります。
 
NEWTは創業以来、「かんたん・おトク・えらべる・あんしん」という4つの根源的な価値を追求しつづけてきました。
AIネイティブ化によりこの4つの価値を異次元に引き上げることができます。
 

かんたん ── 気づいたら、ベストな旅行に出会っている

いま、旅行を探すとき多くの人が「旅行先 おすすめ」「ハワイ ホテル 家族」のように検索して、大量の選択肢の中から自分で探し、比較し、決めています。この「自分で探す」という行為自体が、実はかなりの負荷です。
僕たちがつくりたいのは、NEWTで旅行を眺めているうちに、自然と自分にぴったりのプランが目の前に現れている体験です。
過去の閲覧や予約の傾向、旅行スタイル、時期や予算の条件 ── AIがこれらの文脈を理解した上で、カスタマーが意識的に「探す」前に最適な選択肢を提案する。
もちろん「子連れでバリとセブ、どっちがいい?」のように相談したいときは、商品知識と予約データを持ったAIに聞くこともできる。
 
検索して、比較して、決める。この一連のプロセスをカスタマーに背負わせない。NEWTを開けば、自分にとってのベストな旅行がかんたんに手に入る。かつて店舗型の旅行代理店でしか得られなかった「自分のために選んでもらえる」体験を、デジタルの力でスケールさせていきます。
 

おトク ── 価格も、体験も

NEWTのおトクさは、クーポンや値引きだけでつくっているものではありません。
AIネイティブな事業構造によってサービス運営コストそのものが圧倒的に下がる。その構造的なコスト優位が、そのままカスタマーへの価格として反映されます。これが1つ目のおトクです。
しかし、おトクの本質は価格だけではないと思っています。自分にぴったりの旅行が、探す手間なく見つかり、おトクな価格で、手厚いサポート付きで、一気通貫で手に入る。
この体験全体を考えたときに「この値段でここまで?」と感じていただけること。それが僕たちの目指すおトクです。
 

えらべる ── 品揃えの次元が変わる

ツアー造成は本質的に、フライト×ホテル×日程×旅程の組み合わせです。人手で造成している限り、物理的に上限があります。
しかしAI造成エージェントがNEWTの持つ在庫・料金データをもとに自律的にツアーを組成できるようになると、品揃えの概念そのものが変わります。
人が作れる数万件から、需要がある限り動的に生成される世界へ。ニッチな行き先、変則的な日程、個別の好みに応じた商品が「ある」状態を当たり前にする。
NEWTだったら自分にぴったりなどんな旅行体験だって叶えることができる。あらゆるひとのあらゆるニーズに応えることのできる究極の品揃えを実現することができます。
 

あんしん ── コンシェルジュを持ち歩く

旅行の不安は、予約後に集中します。ビザは必要?荷物は何を持っていく?フライトが遅延したらどうなる?── しかし、いまの旅行サービスはこの「予約後」の体験が圧倒的に手薄です。
 
AIが予約情報と旅程の文脈を理解した上で、24時間365日リアルタイムにサポートできるようになると、この体験は根本的に変わります。
予約確認から旅行準備、渡航中のトラブル対応、帰国後のフォローアップまで。まるで専属のコンシェルジュを持ち歩くような体験です。
しかもこれは、従来であればプレミアム顧客だけに提供されていた水準のサポートです。品質とコストのトレードオフが解消されたからこそ、すべてのカスタマーにこの体験を届けることができます。
 
これらは「ちょっと便利になる」という話ではありません。
NEWTが創業以来掲げてきた4つの価値が、AIネイティブな事業構造の上ではじめて本来の姿になる。
これがこれからのNEWTのプロダクト戦略の核心です。
 
 

さいごに

僕たちが掲げているこれからのプロダクト戦略は、いかにもAIライクなUIを提供するようなプロダクト戦略では一切ありません。
事業構造をトランスフォーメーションすることで究極の旅行体験を実現し、多くのカスタマーの旅行を生み出すこと。社内でさまざまな議論を繰り返しましたが、2026年4月現在の戦略としては事業の本質に向き合い泥臭く自動化を重ねていくことで旅行サービスに求められる本質的な価値を追求し続けることに舞い戻ってきました。
 
「AI前提で事業を設計し直した最初の旅行サービスが次の時代の勝者となる。それは、私たちだ。」
そう信じて、6期目となる今年度はAIネイティブな組織、プロダクトへの本気の変革に踏み出します。
 
あたらしい旅行を、あらゆる人へ。
このミッションを、テクノロジーの力で実現していきます。
 
 

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明日は『NEWT 4th ANNIVERSARY CALENDAR』最終日、CTOの小川がエンジニアリング戦略について書いてくれます。お楽しみに!
 
それでは次回のブログもお楽しみに!Have a nice trip ✈️

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