
2025年2月27日に「EMConf JP 2025」が開催されました。参加されたみなさま、カンファレンス運営に携わったみなさまお疲れさまでした。今回は、EMConf JP 2025において印象に残った内容や、当日の様子を交えてイベント内容をお伝えしたいと思います。
EMConf JP 2025について

カンファレンス概要
Engineering Manager Conference Japan(EMConf JP)とは?
Engineering Manager Conference Japan(EMConf JP)は、エンジニアリングマネジメントを実践する皆さんのためのカンファレンスです。
私たちの掲げるテーマは「増幅」と「触媒」。
Engineering Manager(EM)たちが生み出す熱が、より大きく、より広がっていくようなイベントとなることを目指しています。
EMを目指すエンジニアからベテランEM・経営者に至るまでが一同に会すこの場で、ともに学び、悩みを分かち合い、お互いの心に火を灯しましょう!
※ EMConf JP 2025 (イベントサイト) より
タイムテーブル
イベントはセッションパートと懇親会パートの二部構成で開催されました。
セッションは2つのホールに分かれて実施され、同時にスポンサーブースの出展や企画ブースが用意されていました。

▼ タイムテーブルの詳細はこちら
イベント当日の様子




今回EMConfは初の開催でしたが、これまでのEMコミュニティの知見が集約されており、初開催とは思えないクオリティのカンファレンスでした。多くのエンジニアリングマネージャーの方とコミュニケーションを取ることができ、とても良い機会になりました。
さらに各社のブースも工夫をこらしたものばかりで、今後の参考にしたい取り組みもあり、勉強になりました。セッション内容もためになるものが多く、どちらのホールに足を運ぶか迷いながら参加していました。
印象に残ったセッション
#1 エンジニアリングマネージャーのロードマップ エンジニアリングマネジメントの4次元と生成AI時代の戦い方 by 広木 大地
広木さんが執筆された「エンジニアリング組織論への招待」の内容をメインにしつつ、さらに生成AIが台頭してきたこれからの時代において、エンジニアリングマネージャーの立ち位置はどう変わっていくのかについて語られたKeynoteでした。
そのなかで、すべてのエンジニアはAIをメンバーに持つエンジニアリングマネージャーになり、今のエンジニアリングマネージャーはそれを更にオーケストレーションしていく立場になるという話がありました。
マネジメントする対象が「人間」から「AI」になっていくことで、スケール規模がこれまでの比ではなくなり、マネジメント対象が増えれば増えるほど、どんどん本質的複雑性が大きくなっていく。そこを試行錯誤することがエンジニアリングであり、「人間」であろうが「AI」であろうがマネジメントの本質は変わらず、区別のない組織設計が今後求められていくという話が印象的でした。
「人間」と「AI」を不必要に区別して考えていたなと感じると同時に、生成AI時代を戦い抜くための組織論をエンジニアリングマネージャーとして設計し、組織にうまくインストールしていくことが求められているなと実感しました。
Proposal
#2 エンジニアリング価値を黒字化する、バリューベース戦略を用いた技術戦略策定の道のり by Kazuki Maeda
エンジニアの仕事が経営指標と直結しにくい課題に対して、技術投資の価値を可視化する「バリューベース戦略」という考え方を用いた解決方法を紹介するセッションでした。
価値は「WTP(ユーザーが払ってもいい最大金額)− WTS(組織が提供してもいい最低ライン)」というシンプルなフレームワークで測り、価値を最大化できる施策から優先的に取り組むという考え方を「バリューベース戦略」というみたいです。例として Kindle の無料3G搭載は WTP を上げ、GAP における従業員のシフト固定化は WTS を下げる施策として紹介されました。
技術課題を WTP/WTS のどちらに寄与するか整理し、両方に効くものを優先することで、よりレバレッジの効いた取り組みができるという考え方は、感覚的には理解していたものの、こうして理論として言語化されることで改めて腑に落ちました。
このプロセスを経ることで施策の方向性がブレにくくなり、チームの納得感も得やすく、経営陣への説明もしやすくなるイメージが湧いたので、実際に技術戦略を検討する場ではぜひ取り入れてみたいと思いました。
Proposal
#3 Two Blades, One Journey: Engineering While Managing by ohbarye
マクロとミクロの視点から見るEMの課題から、エンジニアとEMの「二刀流」という選択肢について考えるセッションでした。
- マクロの視点:多くのEMがプレイングマネージャーとして高い負荷を抱えている現状。9割のEMがプレイングであるという事実に、改めてEMの役割の複雑さを感じました。
- ミクロの視点:技術力の低下やキャリアパスの狭まりに対するEM自身の不安。マネジメントに専念する中で、技術者としての成長が止まってしまうことへの懸念は、多くのEMが抱えているのではないでしょうか。
これらの課題に対し、コミュニティの存在がEMのあり方やノウハウを学ぶ上で重要であることが強調されていました。
特に心に残ったのは、エンジニアとEMを交互に行う「振り子モデル」のようなキャリアパスです。この「二刀流」という考え方は、技術力とマネジメント能力を両立させる上で非常に有効だと感じました。発表者が自身の経験を通して語られた、具体的な方法論やキャリア形成の考え方は、参加者にとって非常に参考になったのではないでしょうか。
また個人的な感想として、技術カンファレンスとは異なり、EMのカンファレンスでは書籍の参照や引用が多いと感じました。これは、EMという役割の歴史が浅く、まだ確立されていない部分が多いからではないかと思いました。
そのため、やってみたということや組織に視点が向いた話よりも、EMというポジションそのもののにスポットがあたり、不安やポジションに関心が集まっている状況は、EMという役割が過渡期にあることを示していて、これからさらに重要なポジションになっていくのではと感じました。
Proposal
他にも開催期間中にたくさんのセッションが企画されていました。詳しくはこちらをご覧ください!
おわりに
今回のカンファレンス全体を通して、コミュニケーションの起点を意識した設計になっていたことが印象に残っています。




テーマの通り、「増幅」と「触媒」を生み出す仕掛けがたくさんのところにある1日でした!こういった仕掛けによって新たな出会いや学びが生まれたと感じています。
また、EMConfに参加してみて、改めてエンジニアリングマネジメントには決まった正解がないと実感しました。そのぶん、登壇者の話や参加者とのやり取りから「みんな試行錯誤しながら頑張ってるんだな」と感じられたのがすごく印象的でした。
また、EM同士がリアルな悩みや実体験を共有できる場というのは意外と少ないので、こういうイベントの価値は大きいなと実感しました。「同じようなことを考えていたり悩んでいるのは自分だけじゃない!」と実感できたことが、何より心強かったです。
さらに、登壇者の方々が丁寧に言語化してくれたことで、普段漠然と感じていた課題がクリアになり、自分の中で整理することができました。発表のクオリティも高く、どのセッションもなるほどと思う学びがたくさんありました。
次回も開催されるなら、ぜひまた参加したいと思っているのでそれまでに今回学んだことを業務に活かしながら試行錯誤を重ね自分のEMとしてのスキルを上げていきたいです。
最後に運営の方々、素敵なカンファレンスの企画、運営ありがとうございました!
3月18日開催!「NEWT Tech Talk vol.15」のお知らせ
令和トラベルでは、技術的な知識や知見・成果を共有するLT会を毎月実施しています。発表テーマや令和トラベルに興味をお持ちいただいた方は、誰でも気軽に参加いただけます。
今月のテーマは ”サービスの成長に合わせたフロントエンドの進化”
3月の「NEWT Tech Talk vol.15」は、『NEWT(ニュート)』のプロダクト開発を牽引するフロントエンドチームよりyassan、shirahama_xの2名が登壇!
さらに今回は特別ゲストとして、『バクラク』の開発・運営を行う株式会社LayerXからizuminさん、『ベースマキナ』の開発・運営を行う株式会社ベースマキナからtaroさんをお迎えし、”サービスの成長に合わせたフロントエンドの進化” と題して、LT形式で発表を行います。
そのほか、毎月開催している技術発信イベントについては、connpass にてメンバー登録して最新情報をお見逃しなく!
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