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令和トラベルが目指す“デジタルトラベルエージェンシー”とは何か?エンジニア・ツアー企画メンバーに聞く

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Oct 6, 2023
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Sakurai Mizuki
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令和トラベルは、海外旅行におけるあたらしい体験やあたらしい社会価値の提供を目指すデジタルトラベルエージェンシーです。「あたらしい旅行を、デザインする。」というミッションの実現に向け、海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」の提供によって、旅行業界における予約や管理業務のDX化などに取り組んでいます。
その取り組み事例のひとつとして、令和トラベルではエンジニアとビジネスサイドが連携し、基幹システムや機能の開発を進めています。令和トラベルがデジタルトラベルエージェンシーとして目指していることは何か、また従来の旅行会社との環境の違いについて、開発チームの飯沼とツアー企画チームの井形に話を聞きました。

この記事に登場する人

  1. 飯沼 俊平(いいぬま・しゅんぺい)
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      2016年、株式会社リクルートホールディングスに入社、検索基盤ユニットで検索UX向上のための分析・検索ロジック開発に従事。その後、シフト管理のSaaSプロダクトの新規開発からグロースまでバックエンドテックリードとして牽引。 2022年1月より令和トラベルにジョイン。
       
  1. 井形 衣里(いがた・えり)
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      2010年に株式会社JTB首都圏に入社。提携販売事業部・海外旅行販売課に所属し、JTB商品を他旅行会社へ販売する促進業務に従事。その後、2013年に株式会社リクルートライフスタイルに入社し、じゃらん・エイビーロード媒体を活用したプロモーション企画設計を担当。2022年2月、令和トラベルにジョイン。
 

令和トラベルに感じた可能性

 
──これまでのキャリアと入社の理由について、改めて教えてください。
飯沼:私は2016年に新卒でリクルートに入社しました。大学時代、機械学習やデータ分析を学んでいたこともあり、入社後は就職情報サイト「リクナビ」、中古車情報サイト「カーセンサー」といったサイト内にある検索機能の改善に取り組んでいました。具体的にはログを分析し、カスタマーが求めているコンテンツを上位に表示するといった内容です。
その後、もう少し領域を広げて裏側の技術を支えたいという思いが強くなり、バックエンドエンジニアとしてシフト管理のサービス開発に携わることになりました。立ち上げから運用まで、2〜3年かけてサービス開発に必要な一連の流れを経験することができました。
さまざまな経験をする中で、「エンジニアとしてスキルをもっと高めていきたい」と思うようになったんです。そのためには、プロダクト開発・設計をたくさん経験し、実際に運用してみて、設計が正しかったのかを振り返るサイクルを回していくべきだと思いました。令和トラベルはスタートアップで意思決定のスピードが早く、素早く開発を進められる。さらには開発の機会もたくさんありそうな点が魅力的だったんです。
加えて事業ドメインも自分や家族が利用するイメージが持てる「旅行」の領域ということもあり、より主体的に働けるんじゃないかなと思い、令和トラベルに入社しました。
バックエンドエンジニア 飯沼 俊平
バックエンドエンジニア 飯沼 俊平
 
井形:私はもともと「旅行」が大好きだったこともあり、新卒でJTB首都圏に入社しました。配属先は提携販売事業部という部署で、主に海外旅行のパッケージ商品「ルックJTB」を他の旅行代理店で取り扱ってもらうための販売促進活動に取り組んでいました。
主に店頭での販売を軸とした事業であったため、いかに店舗の目立つ場所にルックJTBを置いてもらえるか、店舗のどこに置けば商品が売れるかをプランニングして提案するといったことをやっていたんです。また、他社にJTBのシステムについてレクチャーしたり、セミナーを開催したりといったことにも取り組んでいました。
それらの業務を通じて、さまざまな知識やノウハウを得ることができましたし、何より旅行業界は自分にはフィットしているなと感じました。一方で、旅行業界をより輝かしい業界にするにはIT化やデジタル化が重要になっていくという考えもあったんです。
「IT化やデジタル化に関する知識やスキルを身につけたい」という思いから、WebやITに特化した企業への転職を考え始めました。その中で、リクルートライフスタイルとご縁があり、主に旅行予約サイト「じゃらんnet」や海外旅行の検索・比較サイト「エイビーロード」(2021年3月にサービス終了)といった媒体を活用したプロモーション施策の提案や販売促進といったことを担当しました。
その後、出産・育児などの関係で旅行業界を離れ、AIのコンサルティング会社で働いていました。ただ、子どもが大きくなり、私の手を離れた時期に「自分が一番やりたいことは何か」を考えたら、やっぱり旅行業界で働くことだったんです。私が考える、旅行業界をより良くするための方法がデジタル化だったということもあり、令和トラベルが掲げる“デジタルトラベルエージェンシー”に惹かれて、入社することを決めました。
ツアー企画 井形 衣里
ツアー企画 井形 衣里
 

実はアナログな部分も多かった令和トラベルの環境

 
──“デジタルトラベルエージェンシー”としての令和トラベルについても伺っていきたいのですが、まずは従来の旅行業界の商習慣についても教えてください。従来の旅行代理店などは、どのような形で業務を進めていたのでしょうか?
井形:だいぶ前の話にはなってしまうのですが、私が働いていた時代は国内旅行、海外旅行も含めて基本的に予約が入った後の手配依頼に関しては、メールと電話、FAXという3つのツールを使って、オペレーターやホテルなどのサプライヤーに連絡をしていました。
人力で対応するため、お客様の名前を間違えて送ってしまうといったことも一定の割合で発生していたんです。個人情報の管理に関しても紙で管理しているため、それを毎日ロッカーに入れて朝と夜にそれぞれ鍵をかけるという業務があります。すごくアナログな方法で管理していたことに、当時はすごく驚きました。
もちろん、時代の変化とともに改善も進んできていますが、それでもまだアナログな部分が残っている領域もたくさんあります。逆に言えば、そこをデジタル化していければ、旅行業界はさらに発展していけるのではないかとも思っていました。
 
──そこから令和トラベルに入社しましたが、率直に入社当初はどう感じましたか?
井形:正直、「デジタルトラベルエージェンシーとは?」と思った部分はあります(笑)。例えば、入社当時は料金計算を手作業で行う部分がたくさんありました。
タリフ(宿泊料金表)からの料金の登録や在庫管理は手作業で行っていましたし、入稿のシステムに関しても当時はスプレッドシートでデータを作成しており、エラーが発生してもエラーの通知や理由なども出ないような状態になっていました。
基本的に人が手作業で行う部分が非常に多くて、例えばタリフからの料金の登録ですとか、一番エラーとして起きてはならない料金の登録も人が行っていたり、在庫の管理に関しても予約が入っても在庫は減らなかったりしました。
ツアー入稿においても、今はシステム化によって、「ここの項目が足りないからエラーが発生しています」という形でエラーの要因がわかるのですが、当時は入稿エラーの要因がわからない状態で「NG300本」とか出るんです。そのNG300本の理由を一つひとつ探しにいく作業はすごく大変でしたね。飯沼さんたちに協力してもらいながら解消していったものの、やっぱり人の力がなくてはならないツアー造成になってしまっていたのは、当時ギャップを感じておりました。
 
──当時、どのような開発方針だったのでしょうか?
飯沼:さまざまな観点がありますが、まず開発チームの知識やスキルで言うと、ツアーがどういった要素で構成されているのか、どう組み立てればいいかが全然分かっていなかったんですよね。井形さんを筆頭にツアー造成チームのメンバーが入ってきてくれてから、何が必要なのかが分かるようになりましたが、当時は自分たちの頭の中で想像しうる最低限の入力項目だけで開発していたので、不便を感じる部分もたくさんあったかと思います。
また、組織としても当時はまだエンジニアの人数が少ない状態だったんです。その状態で、どこに開発リソースを割くか。海外旅行のマーケットが当時はまだ回復していない状況の中、会社としては海外旅行を魅力的に見せて、海外旅行に行ってもらいたい。お客様に見える部分の開発にリソースを割く意思決定をしたので、裏側の入稿システムなどに関してはあまりリソースが割けない状態だったことも要因だと思います。
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1年半で大きく変化。デジタル化でツアー造成の生産性は10倍以上に

 
──NEWTをリリースしてから1年弱が過ぎ、53エリア以上で10,000本を超えるツアーを販売するなど、順調にサービスも伸びていると思います。それに合わせる形で基幹システムも進化していますが、令和トラベルのデジタル化について井形さんは率直にどう感じていますか?
井形:リリースから1年半で多くの開発が進むなど、デジタル化のスピードにとても驚いています。PNR(航空券の予約番号)の自動化、在庫に関してもGDS(旅行関連の予約・発券システム)と連動した在庫管理などによって、手配チームのオペレーションの負荷を削減したり、粗利率の悪化を防いだりすることに繋がっています。
また入稿システムにおいても、先ほども伝えた通りエラーの理由がわからなかったものが解消されたことに加え、今まで手作業で進めていた仕事が約半分以下の工数でツアーを造成できるようになっているので、今までとほぼ変わらないリソースで生産性は10倍以上に上がっているなと感じています。
例えば、今年の4月以降、平均1,200本ほどのツアーを毎月リリースをしているのですが、昨年の9月から今年の3月末までは半年で3,000本が目標だったんです。そこと比較すると、信じられないくらいのスピードでツアーが造成できるようになっています。
 
──理想から逆算すると、デジタル化の進捗は何%ぐらいですか?
井形:私はもっと追い求めたいことがあるので、現状60%ほどです。
 
飯沼:自分はまだ未知の部分があるんじゃないかなと思っているので、20%ぐらいです。正直言うと、まだデジタル・トランスフォーメーションというレベルではなく、デジタル化の段階。当たり前のことをデジタルで出来るようにして、効率よくする段階にあると思うんですよね。
 

1週間ごとに定例ミーティングを開催、距離感の近さが魅力

 
──こういったデジタル化の取り組みはエンジニアだけでも出来ないし、Bizサイドだけでも出来ません。いかに連携できるかが大事かなと思っているのですが、令和トラベルでのチームの距離感や関係性はいかがでしょうか?
飯沼:距離感はすごく近いと感じていますし、関係性も良いと思っています。エンジニアチームだけではツアーをどうやって作るのか、予約が入った後の手配の流れをどうするのか、全員が完全に完璧に理解できているわけではないんです。その中で「自動化する」となったタイミングで、知見を持ったツアー企画チームや手配業務を担当しているメンバーにヒアリングをして、業務整理から進めていくことができます。また、気になったことがあれば「少しハドルいいですか?」という感じですぐに聞けるような環境がありますし、オフィスでも気軽に話しかけられるような関係性があるので非常に助かっています。
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井形:私もすごくコミュニケーションしやすいです。前職まではエンジニアチームにすごく距離を感じていた部分はあって。「エンジニアの話す言語が分かる前提で話しかけてきてほしい」という期待を強く感じることもあったのですが、令和トラベルは全然違うんです。
非エンジニアである私たちにもわかる言葉で話をしてくれますし、ツアー企画チームしかわからない業務的な部分に関しても理解しようと歩み寄ってきてくれる感じがすごくします。一緒に旅行業界をより良くするようなシステムを開発している感覚があります。
例えば、エンジニアチームとツアー企画チームで1週間ごとに定例ミーティングを開催していて。そこで課題があったら、すぐ相談できるようになっているんです。エンジニアの工数や開発スケジュールなども調整しながら開発の優先順位を検討して進められているので、お互いに納得感持って動けている。そこは大きな特徴だと思います。
 
──コミュニケーションする際、どんなことを意識していますか?
飯沼:エンジニア以外のメンバーと話す際、急に「こういう機能があると嬉しい」という感じで相談されることがあります。そういうときはなるべく背景情報を確認したり、もっと簡単な方法を一緒に探ろうというような動き方をしたりすることを心がけています。
 
井形:改めて飯沼さんの話を聞いて、Whyの部分をきちんと私達も伝えなきゃいけないなと思いました。Howに関しては「なぜ、これやりたいか」といった優先順位は必ずつけた状態で共有をさせていただいているので、それに対して、一つひとつ一緒に解決していただけるようなコミュニケーションはとれているのかなと思います。
 

価格予測によって販売機会を広げていきたい

 
──最後にお二人の今後の展望、やりたいことについても教えてください。
井形:ツアー企画に関しては、ホテルと航空券の組み合わせをしただけで5分以内にすぐシステム上でツアーが作られている状態を目指したいです。
また、在庫管理に関しても予測分析の機能を掛け合わせることで、より高度な予測ができて、今までよりもスピードアップして在庫の管理や仕入れができると思っています。在庫がある程度減るとアラートが出て、「この日程でこれくらいの座席数があると、このぐらいの売り上げになる」みたいな試算もできるようになると、より売り上げに繋げていけるような動きも出来るのではないかと考えています。
令和トラベルも創業してから約2年経っており、その間の料金データも蓄積されつつあります。今は料金表が出ていない先々の料金は感覚値でつけていますが、データを元にシステム上でより正確なものが出せるようになる。適切なプライシングをしたうえで向こう1年の予約まで取れるような状態も作っていきたいです。
 
飯沼:人がやる仕事はクリエイティブなものだけにしたいんですよね。在庫管理や手配業務は、ほとんど自動化されていて、何かトラブルがあったときだけ人が丁寧に対応をする。そこに人的リソースを割ける状態を作りたいと思っています。
また、井形さんが言ったような価格の予測によって販売機会を広げることもすごく興味がある分野です。現状は半年先までの価格や在庫しか分からない状態ですが、お客様としては1年先の予約をしておきたいというニーズもあるはずです。今は何かしらのリスクをうまく予想できず、料金を上乗せする形になっているのですが、そこをできるだけ正確に予測できたらお客様が安い料金で旅行に行ける体験を提供できるはずです。エンジニアとして、そういった世界の実現に貢献できたら素敵だなと思いました。
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令和トラベルでは一緒に働く仲間を募集しています

 
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さらに定期的に令和トラベルの技術や組織に関する情報発信を開催予定です。connpass にてメンバー登録して最新情報をお見逃しなく!
 
それでは次回のブログもお楽しみに!Have a nice trip!!