2022年4月の『NEWT(ニュート)』ローンチから約1年半。コロナ禍が徐々に落ち着き、旅行業界が盛り上がりを取り戻しつつある中、令和トラベルはマーケットの回復率をはるかに上回る成長率で事業成長を実現してきました。
2023年4月、より強固な会社組織・開発体制を整えるため、令和トラベルは経営体制を新たにしました。(参考:令和トラベル、新任取締役および執行役員選任に関するお知らせ)
今回話を聞くのは、令和トラベル執行役員の麻柄 翔太郎。エンジニアとしての歩み、令和トラベルに至るまでの意思決定、またVPoEとして考える開発組織について詳しく伺ってきました。
この記事に登場する人
麻柄 翔太郎(まがら しょうたろう/@magarashotar)
2010年株式会社リクルート新卒入社。エンジニアとして新規事業の開発から大規模業務システムの開発まで幅広く担当し、その後SaaSプロダクトの新規立ち上げからグロースまで開発責任者として開発組織を牽引。2021年10月より株式会社令和トラベルにジョインし、EM兼PdMとしてエンジニア組織づくりや社内の業務自動化基盤の開発に尽力し、2023年4月より執行役員に就任。
大規模プロジェクトから学んだ、 “人” と “組織” に向き合うこと
── 本日はよろしくお願いします!改めて、麻柄さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
新卒で株式会社リクルートに入社しました。漠然と ”世の中に新しい価値あるサービスを作っていく” っていうことが楽しそう、自分の力でやってみたいという想いが当時からあり、この軸はいまでもブレていません。いま令和トラベルで事業を作っていることにも繋がっていますね。
リクルートではバックエンドエンジニアのキャリアからスタートしました。新規事業の立ち上げもしたし、大規模プロダクトのAPIリプレイスとか、社内で標準化しているフレームワークや社内ライブラリの運用チームも兼務させてもらったりしました。そんな経緯もあって、エンジニアのキャリアとして、当初はアーキテクトとして技術面からプロダクトをリードしていくことを志望していました。
── そこからプロジェクトマネジメント、プロダクトマネジメントの領域にキャリアをシフトさせていかれたと思うのですが、どんなプロセスがあったのでしょう?
当時は社内横断的なチームにいたので、本当にいろいろなプロジェクトにアサインされました。例えば大規模なオフショア開発にアサインされてベトナムに行ってみたら、現地で大炎上していて1ヶ月って言われたのに半年帰れないとかありましたね(笑)
そのあと、別の大規模開発の立て直しプロジェクトに入ったのですが、そこで感じたのは、どんなにプロジェクトマネジメントを追求しても、本質的に重要なのは”人” や “組織” なんだということです。技術力が高くても、たとえプロジェクトマネジメントがしっかり回っていたとしても、結局のところそこにいる人に向き合い、その組織を強固に組成できなければ良いプロダクトは作れないんだということを思い知りました。
”人” と ”組織” に向き合うことこそ、価値あるプロダクトを作り、グロースさせていくために必要不可欠な要素なんだと、エンジニアリングマネジメントの道を歩みだしたのは、このあたりからですね。
すべては技術者として「良いプロダクトを作る」ため、次の挑戦は “経営者” としてなにができるか
── 大規模な組織やプロジェクトで修羅場を何度も乗り越えるような経験をされて、いまVPoEとしてスタートアップの開発組織を率いる上で、どんなことがプラスに影響していますか?
僕は社内の横断組織にいたので、それぞれの特性に応じてどう開発体制を立て直していくかだけでなく、「あそこのチームではこういうスタイルでやっていて成果が出ているから導入してみよう」みたいな横断で見ているからこそのバリューが出せたし、プロジェクトごとの成功体験や失敗体験を積み上げることができたことは間違いないです。
もちろん、事業も違えば経営者も違いますし、そこにいるエンジニアのメンバーも違うわけですから100点満点取れるなんて思っていないですが、組織がスケールするプロセスを経験してきたので、そのプロセスにおいて一般的にどのような課題や問題が発生して、それを対処するための手段や仕組みをイメージできるくらいにはプラスに影響していると思います。
僕にとってのチャレンジは、”経営者” として日本最強の開発組織を作れるのかということだと思っていて、それに関しては全くの未経験・未知数です。大きな組織の一人としてではなく、経営メンバーとして、その時々に発生する課題に適切に対処していけるか、結果として日本でトップクラスのプロダクト開発組織にしていけるか、そこがVPoEとして一番のチャレンジだと思っています。
── 麻柄さんのキャリアとご経験について詳しくお聞きしてきましたが、ここからは令和トラベルとの出会いとジョインした決め手について教えてください。
リクルート時代からの仲だったCHROの田村に誘われて、当時の転職先としてはあまり意識せずに参画したのが最初のきっかけです。そこから半年くらいPP(→※弊社では業務委託で携わるメンバーをプロパートナー、通称PPと呼ぶ)として関わったのですが、最初の3ヶ月くらいでフルタイムでジョインすることはほぼ決めていました。
“本当に良いプロダクトを作るためには”、ということを追求してエンジニアリングマネジメントに取り組んできたわけなんですけど、やっぱりプロダクトマネージャーとしてより良いプロダクトとはなにか、新しい価値を最大化させるためにはどうあるべきか、を追求することに挑戦したいという想いがありました。令和トラベルは、まず当時の僕の「やりたいこと」に挑戦できる環境があったんです。
とはいえ、最後の決め手はやっぱり “人” ですね。優秀で情熱的なメンバーが当時から本当に多かったんです。当時、まだコロナ真っ只中で海外旅行マーケットなんて全然戻っていない、もっと言えば国内旅行すらままならないコロナ禍だったんですけど、代表の篠塚をはじめとして、とにかく情熱的で、前向きでポジティブなメンバーが集まっていました。
この人たちとだったら、最悪失敗してもマイナスになることが一つもないし、むしろ壮大なミッションを楽しみながらチャレンジができるなと思えたところが最後は一番大きかったですね。
「あたらしい旅行を、デザインする」ために重要なのは、多様性を受け入れ、エンジニア組織を「事業の原動力」となる存在にすること
── ここからは令和トラベルの開発組織について詳しく聞かせてください。会社の目指す方向性に対して、麻柄さんのあたまのなかにある “開発組織のあるべき姿” について教えてください。
令和トラベルが実現しようとしていることの一つは、旅行代理店としての業務を徹底的にオートメーション化することです。在庫・価格管理、商品企画、レコメンド、予約管理・手配、顧客対応や現地でのサポート….これらをすべてソフトウェアで再構築して、従来の10倍100倍の生産性を生み出す。これにより、人手では到底実現できないような商品バリエーションの取り扱いや、おトクな販売価格、スピーディーできめ細やかなサービスが実現できると考えています。
もう一つは、海外旅行のスーパーアプリ構想を実現することです。ツアー、ホテル、航空券、現地でのアクティビティ、海外旅行保険、Wi-Fiやキャリーケースのレンタルまで、必要なものは全部揃っているし、アルゴリズムはわからないけど、なんだか”いい感じ” にレコメンドされ、初めての海外旅行でも必要な情報やわからないことは、チャットやボイスメモで質問すれば瞬時に回答が返ってきて解決する。それらが全てNEWTというアプリ1つで完結する、そんなアプリをつくろうとしています。
これを成し遂げるためにはあらゆるソフトウェアテクノロジーを徹底的に活用して技術をプロダクト価値に転換させていく必要があります。
開発組織としては、テクノロジーやエンジニアリングを事業成長の原動力にできるかがとても重要です。そのためにも、表面的な事象にとらわれず本質的なソフトウェアエンジニアリングを追求し、ビジネス上の課題を技術で解決していくこと、カスタマーの感動体験をデザインしてプロダクトをつくりこむこと。当たり前の話しかもしれませんが、これを徹底的に追求していける開発組織でありたいと考えています。
── 麻柄さんのあたまのなかの “開発組織のあるべき姿” に対して、いま足りないピースはどんなことだと考えていますか?
まだ発展途上の組織なので至らないところだらけではあるのですが、強いて1つあげるとしたら多様性です。前述のとおり、僕たちはソフトウェアテクノロジーを駆使して最高の旅行体験をつくりたいと考えています。
そのためには、アプリケーション開発はもちろんのこと、機械学習、生成系AI、QA、データ分析、SRE、プラットフォームエンジニアリングなどなど、様々な技術領域のスペシャリストのちからが必要不可欠です。また、多くの人に愛されるプロダクトをつくるためには、そのような技術スキルだけでなく、性別、国籍、経験ドメインやフェーズなど、様々なバックグラウンド・価値観を持ったチームであるべきだと考えています。
これまでは事業の立ち上げフェーズとして、少数精鋭のチームでメンバーそれぞれの力に頼って走り抜けてきました。ここからは、多様なエンジニアを仲間にしていくことにも力を注いでいきたいですし、そういう多様なメンバーが全員120%の力を発揮できる組織メカニズムも構築していきたいですし、ただ外から採用するだけではなく会社の中で多様なスペシャリストを育成していける仕組みや体制も構築していかなければならないと考えています。
非連続な成長を実現するために、これからの開発組織に必要なこと、そしてVPoEとしての役割とは?
── 「育成」というワードが出てきたのですが、事業拡大フェーズでは少数精鋭の開発組織を組成する会社も多くある中で、いまから育成を視野に入れているんですね。
これは僕がいままで経験してきた組織の影響が大きいかもしれません。代表の篠塚やCHROの田村も同じだと思います。
新卒時代から、個人の意思を尊重する文化がとても強い環境であると同時に、一人ひとりを成長させ、引き上げる育成マネジメント体制が組織全体に敷かれていて、細部にまでチューニングして運用されていました。僕もその中で育てられてきたし、同じ環境で周りがどんどん活躍していくのも当たり前のように見てきました。もちろん、僕自身もマネージャーとして、若いメンバーを育成して引っ張り上げる立場も経験しました。
CHROの田村もいつも言っていますが、「いまの実力値より成長確度のほうが大事」であり、いまの実力と将来的な伸びしろ、それがいつまでにどのくらいまで積み上がっていきそうなのか、採用は常に積分値で考えましょう、と。だからこそ、職種・レイヤー関係なく、一人ひとりに向き合ってその伸びしろを最大限に引き上げられる組織づくり、育成メカニズムが必要なんです。
スタートアップって、夢とか野望を追い求められると同時に、リスクもあるし生きるか死ぬかみたいな世界だったりもします。でもやっぱり、そこには身の丈を越えたチャレンジと成長できる環境があることは間違いなくて、特に令和トラベルはその点において抜群のポテンシャルがあると思っています。だからこそ、この成長環境のベースを最大限活かした仕組みや体制、育成サイクルをしっかり整備していきたい。まだ思うように着手できていないのが正直なところなんですが、早くここに専念したいと思っています。
── いまの開発組織をもう一段レベルアップさせるために、いま必要なことってどんなことだと考えていますか?
エンジニア個人の力に頼ってきた開発体制からまずは卒業することかなと思います。もちろん、プロダクトをローンチして軌道に乗せるまではこれがあるべき姿だったと思うし、だからこそここまで切り開いてこれたのは間違いないんです。でも、ここから30人、40人というフェーズを迎えるにあたって、個人の突破力を活かしつつ組織全体の生産性や開発パワーを底上げしていく仕組みはこの段階で構築したいと考えています。
実装標準やコーディングガイドライン、テスト設計、だれでも安全にデプロイできる仕組みなど。これまで踏ん張ってきたメンバーが積み上げ、担保してきたものをちゃんと形にして、新しいメンバーが早期にオンボーディングできて、本来のポテンシャルを最大限発揮し、活躍できる状態に最短で到達できる体制がいま必要になってきていると思っています。
今後の開発組織としての拡大にあたり、自立分散した小規模なチームがいくつもできていく構想なのですが、将来的には横断的にプロダクト開発を支援していくような枠組みを構築して、技術的な側面から全チームの開発パワーを底上げし、さらに引き上げていく体制を作るのが理想ですね。
最大限に成長できる仕組みや育成サイクル、そして組織横断的に開発パワーを底上げできる体制づくり、これがVPoEとしての役割だと思っています。
── 麻柄さん、ありがとうございました!最後に、ここまで読んでくださったみなさんにメッセージをお願いします。
先ほどの育成の話もそうですが、エンジニア組織の “あるべき姿” を実現するための仕組みや体制を一つずつ構築していくには、膨大なリソースとパワーが必要になってきます。僕らと一緒に仕組みや体制を構築していくスペシャリストの仲間集めもしていかなければならないと思っています。もしこのブログを読んでいただき、お力を貸していただける方がいらっしゃたら、ぜひお話させてください。
もちろん、目の前の事業成長やプロダクト開発を推進していくメンバーもまだまだ必要です。ここまで読んでいただき、少しでも令和トラベルにご興味をいただけたら、まずはお話をさせてください!みなさんの「やりたいこと」「なりたい姿」「守りたいもの」、いろんな角度から令和トラベルでどのように活躍でき、チャレンジできるのか一緒に考えさせてください!
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それでは次回のブログもお楽しみに!Have a nice trip!!