旅行業界未経験からジョイン。基幹システムを支えるPMの体験記

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Kubo Kyosuke
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May 13, 2025
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こんにちは!令和トラベルでプロダクトマネージャー(以下、PM)をしている久保です!
本記事は、「旅行業界でのPMって何をやるの?」「令和トラベルってどんな会社?」などの疑問を持っている方に読んでもらえたら!と思っています。
入社して日が浅い自分ならではの視点で、学びや印象を書きつづってみました。少しでも多くの人の学びや気づきに繋がればうれしく思います。

はじめに

はじめに、簡単に自己紹介させてください。
2021年に新卒でサイボウズ株式会社に入社し、エンタープライズ向けグループウェア製品に携わりました。
入社当初はエンジニアとして開発業務を担当していましたが、途中からPMとなりロードマップ策定や要求整理、オペレーション改善など幅広く担当していました。
 
サイボウズでも仲間に恵まれ素晴らしい経験ができましたが、スタートアップで世の中に新たな価値を生み出すチャレンジがしたいと思い、2025年1月にPMとして令和トラベルにジョインしました。
現在は社内の基幹システムであるトラベルマネジメントシステムのPMとして、基幹システムのプロダクト開発に従事しております。
 

そもそも旅行業界の基幹システムって?

トラベルマネジメントシステムは社内の基幹システムのことで、以下のようなさまざまな機能が存在します。
  1. フライト・ホテル・アクティビティを選んでパッケージツアーを作成
  1. ツアーを構成するそれぞれの在庫や料金の管理
  1. 予約が入った後に航空券やホテルを手配するタスクを管理
 
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こうした機能を主に使っているのは、社内の「ツアー造成チーム」「手配チーム」「カスタマーサポートチーム」です。 具体的には、ツアーを企画するメンバー、航空券やホテルを手配するメンバー、お客様からの問い合わせに対応するメンバーが対象になります。
 
旅行業界では、仕入れ元・旅程パターンなどの組み合わせが非常に多く複雑化しやすい構造です。PMとして施策を検討する際には、それらを扱う上記のチームメンバーたちが使いやすいようにしつつ、その上でその先のカスタマーの価値を創出できる作りを考える必要があります
この複雑な構造を理解し、多様な関係者に価値を届けるのは、考慮すべき点が多く難しいですが、非常にやりがいを感じています。
 

会社全体について感じたこと

初めてスタートアップへジョインして数ヶ月が経ちますが、さまざまな驚きがありました。
 
1つ目は、「圧倒的なスピード感」でした。
事業計画を着実に達成するためには、何よりも迅速さが求められます。令和トラベルでは、全社で驚くほどの速さでタスクを遂行し、日々PDCAを高速に回していることに、入社当初から強く印象を受けました。
特に開発の現場におけるスピード感は目覚ましいものがあります。もしシステムに不具合が生じた場合、数日以内には、早ければ報告を受けたその日のうちに修正をリリースします。関連部署との連携も非常にスムーズで、意思決定から実行までのタイムラグが極めて短いと感じています。
 
この迅速な動きの背景には、弊社のValueの一つである「GO FAST」という考え方が深く根付いていることが挙げられます。単に作業を早くこなすということではなく、「いち早く価値を顧客に届け、事業の成長に繋げていく」という意識が、会社全体に文化としてしっかりと定着しているように感じました。この早いサイクルこそが、令和トラベルの強みだと感じます。
 
2つ目は、Mission・Vision・Valueの浸透」についてです。
Mission・Vision・Valueとは、会社として何をしてどこに向かうべきか、どのような価値観を持つべきかを言語化したものです。個人的には、これらは現場レベルになかなか浸透していなかったり、抽象的であるがゆえに人によって解釈が揺れていたりと、会社として共通認識をとるのが難しいものというイメージがありました。
しかし、令和トラベルでは入社時にMission・Vision・Valueの解釈を深めるワークがあります。そこでは自身の解釈を深めるとともに、これまで入社したメンバーはどのように捉えているのかのインプットが行われるため、会社全体としての共通認識を醸成できます。
加えて、全社の締め会などでも頻繁に共有され、その時々に応じた代表篠塚の解釈も交えてメンバーに説明することにより、入社したメンバーだけでなく社歴が長いメンバーにも浸透しているように感じました。
 
令和トラベルでは、ミッショントライアングルというフレームワークに則って、Mission・Vision・Valueの理解を深めます。
 
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会社としての理念が浸透し、全員が一つの方向に向かって進んでいることが令和トラベルの強みだと感じています。
 

PMとして向き合ってきたこと

優先順位や仕様の検討を重ねる中で、PMとして特に向き合ってきた(向き合わざるを得なかった)のは、「何を優先すべきか」「どう仕組みに落とし込むか」「どう現場とつなぐか」の3つです。
 

シビアな優先順位設定

令和トラベルは、旅行業界では後発のスタートアップです。ツアーの品揃えや生産性には、今後の成長に向けて改善の余地が多くあります。しかし、リソースには限りがあるため、すべての施策を実施し開発することはどうしてもできません。
そのため、「リソースを今何に使うか」の優先順位設定が成長に必要不可欠であることを実感しました。
また、優先順位判断をより良くするためには、事業全体における注力ポイントやKPI、フェーズの理解が欠かせません。事業に対してどのような効果を与えたいのか、短期と中長期の両方を考慮して定量的にアウトカムを見立てて判断することを意識しています。
 
事業を理解し、感覚ではなく定量的に判断する「シビアな優先順位設定」に日々向き合う必要があります。そうした意思決定は、急成長スタートアップだからこそ求められるものだと感じています。
 

業務フローの理解と複雑なパターンを紐解く開発

業務システムの開発では、表面的な仕様やUI設計だけでは解決できない「背景の構造」に向き合うことが求められます。というのも、システムは見た目や操作感だけで動くものではなく、裏側にある業務の流れや人の習慣、組織の仕組みなどと深く結びついているからです。こうした「背景の構造」を理解しないまま開発を進めると、本質的な課題を見落とし、現場で使われないシステムになってしまうおそれがあります。
特に旅行業界では在庫の仕入れ方法や販売形態によってフローが異なり、多くのパターンが存在することもあり、業務も非常に複雑です。
 
PMとして重要なのは、個々のステークホルダーがどんな業務を担っているかを現場ベースで理解し、その機能がどのような影響を与えるか紐解いていくことです。ヒアリングや業務フローの整理をする中で、設計上の前提やルールに対して現場の使い勝手や制約を照らし合わせながら、未来から逆算した上でのベストな落とし所を見つけていく必要があります。
 
例えば以下は、実際の案件でパターンを洗い出してフローに整理したものなのですが、パターンの数も多く、フローにおける例外も所々存在しており、非常に大変でした。
 
パッケージツアーの機能拡充におけるフローとパターンの整理
パッケージツアーの機能拡充におけるフローとパターンの整理
 
単なる「運用の実態」だけではなく、その裏にある「背景・構造・全体像」まで整理することが、実際の施策の成果へとつながると感じています。

事業成長と現場の業務を接続するシステム開発の両立

業務システムのプロダクト開発では、事業インパクトを最大化する施策と、現場業務に与えるオペレーション負荷のバランスに常に向きあう必要があります。特に私が担当している基幹システムの場合、一つの変更がフロントだけでなく社内業務全体に波及するため、導入に伴う現場負荷や安定運用への配慮が欠かせません。配慮を怠ると社内の工数増加やカスタマーのみなさまが予約できるツアー本数の減少につながる恐れがあります。
 
一方で、開発はあくまで事業成長を支える手段であり、現場の安定運用を図るだけでなく、どこで攻勢に出るかの見極めも重要となります。
 
私が担当した、ツアーの品揃えを拡充するための新機能リリースでは、「事業としての成果」と「現場にかかる業務負荷」の両方を考慮し、バランスを取ることが求められました。
まず初めに、プロジェクトの目的を明確にするため、関係者と共に「事業として何を達成したいのか」を丁寧に整理しました。そのうえで、実際にツアーを作成する複数の現場メンバーにヒアリングを行い、現場の業務フローを細かく把握していきました。
その中で見えてきたのは、たとえ新機能がリリースされても、現在の運用のままではツアーが新たに作成されることは難しい、という事実です。さらに、アプリのバージョン更新に伴い、業務のオペレーションも切り替える必要がありました。そのため、ただ機能を公開するだけでなく、リリース日程の調整や現場への丁寧な周知も欠かせませんでした。
 
特に周知の際は、単なる「お知らせ」ではなく、現場の担当者が「どのようなことが可能になり、何がどう変わるのか」を具体的に理解できる形で伝えることを意識しました。
 
このように、要望に応えるだけでなく、その先にある業務の変化や体験全体までを設計していく姿勢こそが、事業と現場をつなぐPMとしての醍醐味であり難しい部分だと感じています。
 

さいごに

スタートアップに基幹システムのPMとしてジョインして感じたことをまとめたいと思います。

会社について

💡
  • 圧倒的なスピード感: 事業目標達成のため、迅速な意思決定とタスク遂行が徹底されている。単に作業を早くこなすということではなく、「いち早く価値を顧客に届け、事業の成長に繋げていく」文化が存在する。
  • Mission・Vision・Valueの浸透: 入社時のワークショップや全社的な共有を通じて、Mission・Vision・Valueが組織全体に深く浸透しており、共通の目標に向かって進んでいることを実感できる。
 

PMとして

💡
  • シビアな優先順位設定: リソースは限られている。その中で最大の事業価値を出すためにはどうすれば良いかを考え抜いて、優先順位を設定しなければいけない。
  • 複雑な業務フローの理解と分析: 旅行業界特有の複雑な業務知識や多様なパターンを理解し、システム要件に落とし込むことが、プロダクトの価値に直結する。
  • 事業成長と現場のバランス: 事業インパクトの最大化と、現場のオペレーション負荷軽減の両方を考慮したシステム開発が重要。特に、機能リリース時の現場への影響を事前に考慮し、丁寧な連携が必要不可欠である。
 
大変なこともありますが、だからこそ、壁を乗り越える面白さを感じています。
 
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。この記事が誰かの学びになれば幸いです。
 

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