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令和トラベルPMの仕様検討から開発までの流れ

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Product Management
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Jan 17, 2023
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Junya Fujinuma
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#1 はじめに

こんにちは、令和トラベルに1人目のプロダクトマネージャーとして2021年6月にジョインしている藤沼です。
いまは、NEWT(ニュート)のカスタマー 向けのプロダクト全般のプロダクトマネジメントを担当しています。
 
今回はNEWTで海外旅行の5%がポイントバックするNEWTポイントの機能開発を通じて、「なぜこの機能を作ったのか?」「どんな世界を作りたいのか?」についてPM目線でお話させていただきます。
 
NEWTポイントは、海外ツアーの旅行代金5%が付与され、次回の予約時には1pt = 1円としてご利用いただけます。
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(旅行業界でもトップクラスのポイント還元率)
 
この記事では、ポイント機能の話はもちろん、色々と話を膨らめながらお話できればと思います。
 
簡単なサマリはこちら
  • 海外旅行は非常に ”フリークエンシー” の低い中で各社がしのぎを削り合いながらパイを奪い合っている
  • NEWTは「かんたん」「おトク」で圧倒的なカスタマー便益を実現したい
  • 令和トラベルの仕様作成から開発開始までの流れは下記
    • 1)先行サービスの徹底研究
    • 2)比較して良いエッセンスの抽出
    • 3)NEWTへの転用
    • 4)最小単位の設定
    • 5)チームALLでの論点整理
  • 絶賛、採用しておりますので1人でも多くの方とお話できるとうれしいです
 

#2 海外旅行マーケットという特異性

1)フリークエンシーの特異性
  • 毎年、旅行へ行く回数は国内平均で2.5回程度、海外旅行はなんと平均0.1回です。つまり毎年海外へ行く人は一定数いるが、全数からすると非常に少ないことがわかります。しかし、経済規模で考えると旅行全体では20兆円を超え、海外旅行はおよそ4.5兆円となっており、産業別に見ても非常に大きなビジネスです。
2)単価の特異性
  • 2019年は2000万人の旅行者で4.4兆円のマーケットなので、客単価22.5万というマーケットとなっています。
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      ※現地での消費も含みます。
3)商品の特異性
  • しかし、売っているツアー商品は一部の差はあれど、基本的には航空券 + ホテル + (安心)の組み合わせになるので、どの旅行代理店で購入しても大きな差がないというのが実情となっています。
4)購入から旅行までのリードタイムの特異性
  • 海外旅行はリードタイムが2-3ヶ月先の予約を取ることが当たり前で、長いと半年・1年先の予約も存在します。
  • いまの1月の時点で2月、3月だけでなく、すでにGWの海外旅行の予定や夏休みの予定を考えているケースもあります。
  • そのくらいカスタマーの意思決定のリードタイムが長いサービスとなります。
 
4つの特異性を考慮しながら、各社どうやったら自分たちのサービスでカスタマーが海外商品を購入してくれるのか?についてしのぎを削りあっています。
 
今回はNEWTはどうやってカスタマー便益を作り、購入してもらう蓋然性を実現しようとしているのか?の一部についてお話できればと思います。
 

#3 NEWTの開発まわり

まず、NEWTが作りたい世界については、「パスポート、クレジットカード、スマホ、NEWTのアプリ」の4つがあれば海外旅行がかんたんに行けて、無事に帰国できる世界です。
 
その中で、いまは海外旅行に対するハードルが依然として高い状態です。
海外に行くことの不安、近年まれに見る物価上昇、燃油価格の上昇など心理的にもお金面などの物理的な面でも非常に海外旅行のハードルが高まっていて、海外に行くなら今年は国内旅行でいいかとなっている状態をカスタマーにヒアリングしても感じます。
 
プロダクト開発としては、「かおえあ」というマジックワードに沿った機能開発や要件定義を実施しています。
  • か = かんたん
  • お = おとく
  • え = えらべる
  • あ = あんしん
 
なので、日常的にプロダクトチームだけでなく、全社的にも
  • もっとこの機能のカスタマー体験が「かんたん」になるにはどうすればよい?
  • もっと「おトク」を感じるUIや見せ方は出来ないのか?
などなどの会話をこの「かおえあ」をベースに重要にしております。
 
また2022年4月のサービスリリースから9ヶ月で主要な機能だけでも
  • クーポン機能
  • Web版 NEWT
  • やることリスト(出発、帰国までのタスク管理)
  • カレンダー上で価格がわかる
  • お気にいり機能
  • 価格レンジでの絞り込み
  • 座席クラスでの絞り込み
  • CO2排出量の表示
  • パスポートOCR
などなどあります。
 
先ほどの「かおえあ」を一部抜粋しても
  • かんたんのアップデート
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  • えらべるのアップデート
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などなど、NEWTは「かおえあ」をベースにしながらも非常に進化を続けております。
 

#4 ポイント開発まわり

今回の本題となるNEWTポイントの機能は、「かおえあ」の「お」の部分に焦点をあてた機能です。
 
代表の篠塚とも話ながら2022年11月9日にポイント機能を開発しようと意思決定をして、2023年1月10日にリリースできました。
(なので、ポイント開発という意思決定からQA通しての開発完了まで1.5ヶ月くらいで持っていけているので2021年よりもプロダクトチームの強さを感じる)
 
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検討初期時点の意思決定として、
1)NEWT = おトクを明確に感じてもらえるようなインセンティブ設計
  • 業界最高のポイント還元率
2)NEWTを予約するのが一番おトクになるという状態を確立することでNEWTでの予約する必然性を高めていく
  • ビジネス的にも国内旅行が年2.5回行かれるのに対して、海外旅行が年0.1回しか行かれないため最初の意思決定をしてもらえる蓋然性の構築
  • ポイント付与によってそのポイントを次回使おうという構造でリピーターになってもらうこと
3)1カスタマーとしてもおトクに旅行にいける状態
  • なによりも、ぼくは1令和トラベルの社員ですが一方、海外旅行好きの1カスタマーです。
  • いまは海外旅行を取り巻く環境としてあらゆる価格(物価、為替、燃油)の上昇で物理的なハードルの高まっている状態をプロダクトの力で突破したいと思っています。
 
このあたりをプロジェクト初期に定めながら検討を進めていきました。
 
また、令和トラベルのプロダクトマネージャーとして大事にしていることが下記になります。
  • 1)自分の思い込みや想像だけでものづくりをしないために、国内外の先行しているプロダクトを徹底研究
    • 0から車輪を作るのではなく、先人のみなさまが試行錯誤やリリースしてからの改善を積み重ねた上での今の機能があるため、良いものを徹底的に学習していくことで最速で作り上げることができます。
  • 2)各プロダクトを比較して、良いエッセンスの抽出
    • 2,3プロダクトだと良いもののパターンが見えてこないので、10-20といった海外の巨大テック、ユニコーン、日本の上場企業、スタートアップなどを横並びで見ていくことで良いエッセンスの観点が出てくるのでここを大切しています。
  • 3)良いエッセンスを基にしてNEWT上での体験や仕様を作成
    • ただ良いエッセンスをNEWTにそのまま横展開してもプロダクトの性質、前提条件、リソースの制約などで単純には模倣できないので、NEWTで実現するならどうする?を考える必要があります。
  • 4)最小単位の設定
    • 令和トラベルの開発では、小さくリリースして大きく育てるを重視しています。
    • ここは無限に仕様を膨らめることは簡単ですが、そうするといつまでもリリースできずどんどんリリース予定が後ろになってしまいます。
    • スタートアップの武器は「はやさ」一択なので、最小単位のスコープの見極めをしながら最速でリリースしていくことがトータルの結果に繋がると考えています。
    • 意外とリリースしてみると、思ったよりも使われる、使われないなどの反応が返ってくるので、この反応が返ってくることを大事にしています。
  • 5)みんなで仕様にない論点の洗い出しと論点合わせの認識揃え会
    • どうしてもPRDやFigmaだけでは考慮できていなかった仕様や状態定義などの抜け漏れが発生するので早い段階で実装エンジニアはもちろん、他チームのエンジニア、デザイナー、QAにも論点解消の箱を作ってそこに自由に入れてもらっています。
    • これをすることで、考慮できていなかった、仕様からそもそも漏れていた、を減らすようにすることで不確実性を最小化しています。
 
フローとしては下記のような形で、①→②→③→④→⑤の直線というよりは、必要に応じてぐるぐるとめぐりまわっているようなイメージです。
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(これは①と②の他プロダクトのスクショを並べて、各社の研究をしていくところの一例のイメージ)
 
それを、今回のケースで当てはめて考えると下記のようなことをしていました。
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こうして、ポイントの還元率、有効期限、利用時のUI/UX、キャンセル時の挙動、付与タイミングなどの大きな仕様から細かい分岐条件に応じた状態定義なども含めてnotion、Figmaを駆使しながら検討して下記のようなものが生まれていきました。
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実は、ポイント機能リリース以前(2022年12末までに)NEWTを使って旅行していただいた方にも5%還元をさせていただいております。
 
 

#5 さいごに

こんな形で令和トラベルでは、いまもカスタマー影響の大きい機能をいくつか並走しながら仕込んでおり、来月には大きいリリースを出せるかなと思っておりますのでお楽しみにしてください。
 
ぼく自身、令和トラベルでの副業開始が2021年1月、フルタイムジョインが2021年6月と海外旅行プロダクトに関わり始めて2年が経ちました。
 
NEWTも徐々に成長しているのですがまだまだ目指しているところから10%にも到達していません。
ぜひ、このブログを読んだみなさまと海外旅行をもっとスマートにするプロダクトを作れたらなと思っております。
全職種(プロダクトマネージャー、デザイナー、エンジニア、QA)熱烈採用中ですので、ぜひぜひカジュアルにお話だけでも出来たら嬉しいです!!
TwitterにDMいただければご返信しますのでお気軽にください
 
 
明日はエンジニア視点から語るポイント機能があるのでお楽しみに!