“品質”をみんなのものにするために行なっている入社者オンボーディング

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こんにちは!令和トラベルQAエンジニア兼Engineering Managerの@miisanです。
この記事では、令和トラベルに入社したメンバー全員に行なっているQAオンボーディングについて紹介します。
この記事は、下記のようなことを思っているQAエンジニアやエンジニアの方に向けて、解決する方法としてオンボーディングの仕組みを提案したいと思います。
  • 他チームを巻き込んだQA活動をしたい
  • 障害や不具合が見つかった時にQAチームだけの責任に感じる
  • 品質保証をチームの垣根を超えたQA文化として根付かせたいと思っている

はじめに

令和トラベルでは、入社したメンバー全員に早く会社の文化や業務に慣れてもらえるように、”Welcome Mission”としてメンバー受け入れプログラムを用意しています。例えば、会社のミッションやバリューを理解するためのカリキュラム、旅行業界の仕組みを理解するためのインプット時間などが仕組みとして整備されています。その中の一つに、各部門やチームを理解するためのオンボーディングがあり、その中に「QAオンボーディング」が組み込まれています。
私が令和トラベルに入社してから、全メンバーに実施してきたオンボーディングの内容と、なぜQAや品質保証についてメンバーにオンボーディングすることが重要なのかについて解説します。

なぜ全社員に向けてQAオンボーディングをするのか

QAエンジニア・QAについて知ってほしかった

1つは、QAエンジニアやQA(品質保証)について知ってほしいという思いが強かったからです。というのも、令和トラベルで働くメンバーは、3割以上がIT以外の業種出身メンバーで構成されており、またIT企業出身メンバーでもQAエンジニアと呼ばれる職種の人と働いたことがないメンバーも在籍していました。そのため「QAという言葉を初めて聞いた」「Q&Aだと思っていた」など言われる場面に遭遇する機会が多くありました。
フルタイム出身業種の割合
フルタイム出身業種の割合
ただ、より良いプロダクト作りには、多くの人にQAエンジニアのことを知っていただく必要があり、さらには何かあったときに相談してもいい人と思ってもらえることは重要だと思いました。
QAエンジニアとはこの会社ではどんな人で、品質保証とはどういうことなのか、という共通概念を作ることと、コアローンチ後すぐにQA文化を醸成させることで、持続可能なプロダクト開発につながると思い、QAオンボーディングの資料を作成していくことにしました。

品質作り = チーム戦

オンボーディングの資料内では、「品質作り = チーム戦ということを強く伝えるようにしています。
私たちは、より良い価値を継続的にはやくお客さまに届けることを目指し、プロダクト開発を進めています。たしかに、QAエンジニアは上流工程からリリース、保守・運用と幅広く関わっていきますが、それ以外の多くの要素から”品質”は成り立ちます。プロダクト開発でいえば、仕様設計のフェーズから質の高い設計ができているかいないか、という点は大きくその後の工程を左右し、同様にデザイン設計、開発設計、実装とそれぞれのフェーズで生み出されるアウトプットの掛け合わせが、より良いものをはやく作れるかという鍵を握っていると考えています。つまり、QAエンジニアだけが早く良いものを作りたいと思ってもこれらを達成することは難しく、より良いプロダクト開発の実現には、いかに多くのメンバーに品質作りを自分事として捉えてもらえるかどうかという点が重要な観点だと考えました。
また、私が入社するまでなかったQA専属のチームができることで、「QAや品質保証についてはQAチームに任せればいい」という雰囲気を作るのではなく、あくまでQAチームは”より良いプロダクト開発とは何か?”という問いを常に考え、それをリードする中心にQAチームがあるということを理解してもらうことで、チーム一体となりプロダクト開発に向きあえると考えました。
QA・品質保証はQAチームだけで守るものではなく、あくまで一人一人の積み重ねによってブラッシュアップされるものということを大切にしたいと思いました。

令和トラベルとしての”品質”とは何か

そもそも品質とは、定性的なものであり、絶対的な答えのない曖昧なものです。そのため、それぞれの価値観や過去の経験則で”品質”の良し悪しを判断してしまう可能性があります。そういった背景から全体軸がブレるケースが生まれないように、一定の指標を設けることで、共通概念を理解してもらい、自己判断しやすいようにしたいと考えました。これはプロダクトメンバーだけでなく、非エンジニアにも共通し「令和トラベルの品質基準」から逆算し、妥協しないアウトプットになっているか?という判断基準を作りだすきっかけになればと思いました。
前提として、スピードと品質をトレード・オンさせる品質管理を行うことを、入社時からの目標においてきたため、QAチームだけで全ての品質管理を行うことは難しいということを考慮し、QAチームのマインドセットや基準の一部をメンバー全員に理解してもらうことを目的にしました。
一定以上の同じ価値観や基準があることで、令和トラベル・NEWTのブランドを全員で守り、お客さまへの価値につながるアクションを一人ひとりが積み重ねることによって、さらなるお客さまへの価値創造につながるだろうと考えました。

QAオンボーディングで伝えていること

では、オンボーディング内で伝えているポイントを一部紹介します。

品質とは何か

要件をただ満たしていることだけではなく、作り上げていくことを大事にする
  • 当たり前品質について
  • 魅力的品質について
→ 品質を作り上げる、品質向上とはなにか?
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QA Engineerとは何か

大切にしていること
  • プロダクトの品質状態を見える化する
    • 品質を定量化する
  • プロダクトの価値を高める
    • そもそもバグを生み出さないこと = バグ検出よりもバグの予防
    • 初期品質を高める動き
→ QAエンジニアは、システムやサービスがお客さまにとってより良いものになっているか検証する役割を担っている。
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テストとは

  • お客さまへのリスクを軽減させること
  • お客さまへの価値を最大化させる手段の一つということ
→ 損失の回避と価値向上を実現するためのもの
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マインドセットについて

  • 品質を”犠牲”にしてスピードをあげるのか?
→ とにかく実装スピードは早いが、不具合が多い状態というものを許容しない。高い品質も早も諦めないために何が必要かを追求する。
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  • 「品質」を作り上げるには、プロセス・チーム・プロダクトの相互向上が鍵
→ プロダクトの品質保証は、一人でかかえたり、ある役割で品質の責任を負うことはできないから、チームで向き合うことを目指す。
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まとめ

1年を振り返り、NEWTアプリから予約できるツアーと、トラベルコンシェルジュが中心となり行なっている手配予約ともに、重大インシデントが発生することなくお客さまに旅行体験を届けて来られたことは、メンバー一人一人の高い質のアウトプットによるものだと思います。
どこまでオンボーディングによる効果があるか数値化することは難しいですが、現状QAチームだけに頼った品質保証や品質課題の認識齟齬の発生といった現象は起きていない点は、良いQA文化を形成してこれたということなのではないかと感じます。
また、QAや品質保証についてオンボーディングすることで、プロダクト開発の品質向上だけでなく、他部門の業務にも置き換えて品質を考えてもらうきっかけとなり、プロダクトの品質向上につながるだけでなく、開発チームや他部署とのコミュニケーションにも繋がる重要なプロセスだと感じています。

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