
機能軸組織から、球体のような組織へ
こんにちは、令和トラベルの大浦です。
私は2022年の4月に令和トラベルに入社しましたが、入社と同時にNEWT海外旅行予約アプリをリリースしました。そして、当社の今期最大の目標はNEWTのPMFです。今回はそれを達成するための、開発組織について書いてみます。
PMF達成をするために、当社では戦略とKGIの明確化、そして戦術であるPU(プロジェクトユニット)まで落とし込みます。こちらの詳細は篠塚のnoteを見ていただければと思います。
私が令和トラベルに入社した4月の開発組織は、機能軸組織でフロントエンジニア、バックエンド、iOS、Android、QAなど同じ職能を担当する人を集めて組織をつくっていました。それは専門性を高めるのに適しています。
そしてPMFを達成するためにさまざまなプロダクト開発やプロジェクトがありますが、当然それぞれの職能の連携が必要不可欠です。
しかし会社全体およびエンジニアの人数も短期間に増えてきたことで、スタートアップ初期のカオスを迎え、個から組織への変革が求められてきました。またスタートアップ初期のマネージメントや業務、開発プロセスの構築が十分でない時期において、機能軸の組織はむしろ業務効率を低下させる要因になり始めました。
ここで、最小単位のプロダクト(プロジェクト)単位の組織をする方が、意思疎通やコミュニケーションが明らかに早いので、さまざまなリードタイムがあがると仮説しました。
また、PMFを目指すこの時期は、戦略やKGIとそのうち手となる戦術そのものが常に試行錯誤が必要であり、不確実性が高い状態です。なので組織は、「ゴールを模索しながら、戦術のPDCAを効率よく実行する」アジャイルな組織の考え方を反映しやすい、プロダクト(プロジェクト)軸の組織編成の方が適していると考えました。
その一方で、PMF後「明確なゴールと戦術で、組織がある程度スケールした状態で、いかに効率よく、かつ一定の品質高く業務を遂行する」という成長戦略フェーズには、再び、機能軸組織の方が適するだろうとも思っています。
令和トラベルの新組織体制
令和トラベルでは10月より組織を機能軸からプロダクト(プロジェクト)軸の体制にしております。機能軸を撤廃し、職能が有機的に関与し合うことをイメージしたフラットな組織、もっというとイメージでは球体のような組織です。またプロダクト(プロジェクト)における責任者としてLeader of Work、ピープルマネージメントや評価含むの役割を担うLeader of Peopleをそれぞれ別に設置しています。

一方でプロダクトやプロジェクト軸が強い組織だと、徐々に機能軸つまりエンジニア間のノウハウ(専門性)が蓄積されにくくなることが予測されます。そこで、横断的なエンジニアリングとして、プロダクティビティ改善や性能改善、QAなどの機能軸に近いプロジェクトも同様に組織にしています。
「Spotifyモデル」
そして今回の新体制のエンジニア組織運営において、私が参考にしているのは、「Spotifyモデル」です。ご存知の通り、Spotifyは、世界で最大かつ最も人気のある音楽ストリーミングサービスであり、Spotifyのエンジニアリングチームが開発アジリティの向上を目指して作業を進める際、自らの経験を文書化して、世界に公開し、最終的に多くのテクノロジー企業が作業を整理する方法に影響を与えることになりました。
Spotify モデルが最初に世界に紹介されたのは 2012年で、Henrik Kniberg 氏と Anders Ivarsson 氏がホワイトペーパー『 Scaling Agile @ Spotify 』(日本語訳はこちら)を公開しました。
縦割り組織をSquad(プロダクト、プロジェクト)、横割り組織をChapter(機能、職能、評価)としたもので、マトリクス型組織の一形態とも捉えられますが、この考え方を参考にしながら、今回の新体制におけるエンジニア組織の運営をしています。

またSpotifyではその開発、組織手法がもたらす最大のメリットとして、'Autonomy'を上げています。
私たちもPMFに紐づくユニットの役割を明確化することで、ユニット内での意思決定を推し進め'Autonomy'の強化を図ります。
組織変更の目的
様々な組織の型はありますが、常に縦(プロダクト、プロジェクト)と横(機能、職能)を組織は変更を繰り返します。
組織変更の目的は、マインドセットを変えることであり、今回は、最小単位のプロジェクト軸にすることで、一人一人のOwnershipとAutonomyを強化し、PMF達成という目的のために、個と組織のユニットの成果を最大化することだと考えています。
組織とアーキテクチャー
話はややずれるかもしれませんが、コンウェイの法則というものがあります。組織がシステム開発を行う際、その組織のコミュニケーション構造と同じ構造の設計を行ってしまうという法則です。更に「逆コンウェイの法則」と言われるものもあります。アーキテクチャによって組織構造を変化させるのではなく、最初から最適なアーキテクチャに合うような組織デザインを設計するという「アーキテクチャのための組織を作る」というイメージです。
私たちは事業のポートフォリオの拡大も見据えた、新規プロダクトの開発も同時に実施していく必要があります。今回の組織変更は、偶然の結果として「逆コンウェイの法則」だと思っていて、PMF達成のために描いた、最適な組織設計が目指すべきアーキテクチャー(疎結合なプロダクト)の設計ができそうです。ビジネスやカスタマーの振る舞いに対して組織設計すると、結果的にその時期に最適なシステムアーキテクチャーの考え方と一致しやすくなると感じています。
最後に
もし少しでも令和トラベル開発チームに興味を持っていただけましたら、ぜひカジュアルに情報交換できればと思います。
- また当社のエンジニア技術イベントNEWT Tech Talkにも興味があればぜひ参加ください。

それでは次回のブログもお楽しみに!