【イベントレポート】Developers Summit 2025 Summerに参加しました!

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Keisuke Yoshida
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Jul 25, 2025
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devsumi
Engineering Management
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こんにちは。令和トラベルEMのyoshikeiyagi2です!
2025年7月17日~7月18日の2日間に渡り「Developers Summit 2025 Summer」が開催されました。参加されたみなさま、カンファレンス運営に携わったみなさまお疲れさまでした。
今回は「Developers Summit 2025 Summer」において印象に残った内容や、当日の様子を交えながらイベント内容をお伝えしたいと思います。
 
▼ 前回の参加レポートはこちら

Developers Summit 2025 Summer について

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📝
カンファレンス概要
技術の進歩とは裏腹に、エンジニアが直面する課題は年々複雑化しています。直近でいえば、積み重なった技術的負債がもたらす課題や、生成AIの登場によって一変したビジネス環境、また長きにわたるIT人材不足など、乗り越えるべき壁は多岐にわたります。
 
しかし、こうした解決の糸口も見えない複雑な問題を、なんとかすることができる力がエンジニアリングには眠っています。そして、その長きにわたって不確実性に向き合ってきた歴史と、AIのような最新技術の知見を組み合わせ、解決に向けて行動できるのはエンジニアだけなのです。
 
あとはこの2つの武器をどう使いこなすか。奇しくも、「なんとかする」も「使いこなす」も、英語では同じく"manage"という言葉で表されます。
 
「Developers Summit 2025 Summer」では、そうしたマネージャー層の方はもちろん、役割に縛られず「なんとかしたい」課題に挑む方、事業貢献に向けてmanageするエンジニアの皆さんを応援します。
 
AIエージェントを含めた技術を使いこなす方法、エンジニア同士が手を取り合い成果を上げる方法、そしてその成果を開発者の枠を超えて組織全体に広げていく方法をシェアし合い、明日から実践に向けて動き出せる時間を皆様と作り上げていきたいと思います。
※ Developers Summit 2025 Summer (イベントサイト) より
 

タイムテーブル

当日はA~Cの合計3つの会場にてセッションが実施されました。また、同時にスポンサーブースの出展や書籍の販売コーナー、スタンプラリーなどの催しも行われていました。
 
▼ タイムテーブルの詳細はこちら
 

イベント当日の様子

メインボード
メインボード
セッション会場
セッション会場
スポンサーブース
スポンサーブース
2日間にわたって開催された本カンファレンスには、エンタープライズ企業からスタートアップまで、さまざまな企業の方々が登壇・出展・参加しており、非常に活気にあふれていました。
会場では、昼食時に軽食が提供されたほか、休憩スペースにはWi-Fiやコーヒーも用意されており、参加者が快適に過ごせる工夫が随所に見られました。
 

miisanがパネルセッションで登壇しました

エンジニアリングマネージャー “お悩み相談” パネルセッション | 新多 真琴 x 小田中 育生 x miisan x 三谷 昌平

 
本セッションでは、エンジニアからエンジニアリングマネージャー(EM)へ転身した際に直面する課題とその乗り越え方について、現役EMたちが自身の経験をもとに語りました。
EMの役割は、自らの手で価値を生むことから、チーム全体の成果を最大化する方向へと変化します。しかし、結果がすぐに見えづらく、手応えのなさや責任の重さに戸惑う声が多くあがっていました。特に「マネージャー像が掴みにくい」問題は、コミュニティや書籍を通じて他者の経験に触れることで解消できるという意見もありました。
 
また目標設定においては、メンバーが腹落ちし、主体的に動けるような関わり方が鍵になります。トップダウンで与えるのではなく、事業の文脈をメンバーにフィットする言葉で翻訳し、KRを一緒に考えることで、当事者意識と成果が結びつくという見解が印象的でした。
 
信頼構築においては、形式ばらない1on1(散歩・食事など)や、マネージャー自身ができること・できないことを明示する姿勢の重要性が語られ、EMの信頼は「友達のような優しさ」ではなく、メンバーの成長と成果を支える伴走者として築かれていくものだと感じました。
最後に、「失敗は減点ではなく学び」であるという考えが共有され、失敗を責めずに「学びの構造」に変えることが、挑戦し続けられるチーム作りに不可欠であるという学びもあり、EMという航海士の役割は、地図のない海を進みながら、チームとともに目的地へ導く旅路。
多くの学びとヒントを得られた貴重なセッションでした。
 
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登壇したmiisanから感想をもらいました!
改めて、マネジメントという役割の奥深さや難しさを再認識する機会になったとともに、振り返ればあの時の私の ”悩み” には、ある程度乗り越え方があるものだったと気づける機会にもなりました。
今後も深く悩み続けると思いますが、その乗り越え方を見つけ、相談先をたくさん作ることで、今後も挑戦や学びを積んでいきたいと思います!ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!!!

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印象に残ったセッション

ここからは、印象に残ったセッションをいくつかご紹介していきます。

#1 エンジニアが事業に向き合うために必要だったこと、全部話します | 佐藤 大典

 
本セッションでは、「エンジニアとして事業に貢献するとはどういうことなのか?」を、佐藤氏の経験に基づいて解き明かされました。
開発納期の順守や技術的負債の返済など、よく言われる “事業貢献” が、必ずしも成果に繋がらなかった具体例を通じて、本質的な貢献のために必要な視点が語られました。
事業指標と技術指標のギャップを理解する「Connection」、企業活動と組織構造を知る「Organization」、ビジネス全体と業界知識を持つ「Domain」、そして関係者と共に価値を創る「Engagement」という、真の事業貢献のために欠かせない「CODE(Connection・Organization・Domain・Engagement)」の4つが提言されました。
どれも、単なる開発スキルではカバーできない視座の広さが求められる内容であり、技術が高度化・低コスト化する時代において、エンジニアが “経営を読める” ことは、事業の中で価値を発揮するための前提条件になると改めて感じさせられるセッションでした。
 
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#2 AIによるエンジニア総プレイングマネージャー時代の思考法~EM×プロダクト開発×アジャイル開発の交差点~ | 広木 大地 x 宮田 大睿 x 及部 敬雄

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本セッションでは、生成AI時代におけるエンジニアリングマネジメントの再定義が議論されました。
登壇者たちは、AIによって「プレイングマネージャー化」するエンジニアの役割を軸に、EM・プロダクト開発・アジャイルの交差点から新たなマネジメントの在り方を探りました。
印象的だったのは、AIをスクラムマスターやPMのように活用し、プロジェクト全体の文脈を把握・支援する実践例です。これにより、チームの間接作業を削減し、本質的な業務に集中できる環境が整いつつあります。また、AIによって少人数でも成果を出せる構造が可能になり、従来の大規模チームの前提が崩れつつあることも共有されました。
 
一方で、知識創造の場面では、暗黙知の共有や共通体験を通じた「共同化」が人間の重要な役割として残ることが強調され、AIとの協働には人間中心の設計も不可欠だと再認識できました。
最後に小話的にAI疲れへの対処として「正気を取り戻す時間」や「自分の欲望と向き合う姿勢」が、これからのスキル向上や持続可能な成長の鍵であるという話もあり、学びだけでなく面白さも感じられるセッションでした。

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#3 AI時代のエンジニア育成課題を『モデリング』と『LLM』でなんとかする:文脈知識の壁を乗り越えるには | 尾髙 敏之

 
本セッションでは、エンジニア育成における「文脈知識」の壁と、それをどう乗り越えるかという課題に対して、尾髙氏が提案する“モデリング思考”と“LLM活用”のアプローチが語られました。
特に、業務の背景や意味を構造として捉える「モデリング」によって、属人的に蓄積されていた「暗黙知」を「形式知」として共有し、エンジニアが自律的に判断・学習できる環境を整える意義が主軸となって語られました。
従来、文脈知識はOJTや経験を通じて “なんとなく” 獲得されるものでしたが、生成AIや自動化の浸透により、知識のカプセル化が進んでいます。「AIエージェントが判断を下す時代だからこそ、その根拠や背景となる “意味の構造” をエンジニア自身が捉え、育成に繋げる必要がある」とAI時代の課題提起をされていました。
 
LLMはこのプロセスの壁打ちパートナーとして活用され、文書や音声、ワークショップの記録などを一元化し、ビジネス知識の蓄積・問いの深化をサポートする存在として位置づけられていました。形式知化された情報を元に議論を深めることで、単なる知識の伝達にとどまらず、構造的な理解と納得を促す育成が可能になるという示唆は、現場で育成に携わる立場として強く共感できました。
文脈知識の継承という、これまで “当たり前” に属人化されていた部分にあえて光を当て、「なぜその業務が存在するのか」「その業務はどんな価値と接続しているのか」を問い直す姿勢がとても印象的でした。
特に、生成AI時代における知の形式知化・再構造化というテーマは、単なるAI活用を超えて、エンジニアリングの本質を問う内容でもありました。
 
属人的な知識を「意味の構造」として残し、LLMと共に探求・育成していくという考え方は、これからのエンジニアリングマネジメントやチーム・組織育成の指針にもなりうると感じ、「技術を価値にする」ための、構造と背景を読み解く力こそが、AI時代のエンジニアに求められる重要な要素だと背中を押されたセッションでした。

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#4 SaaS is Not Dead~生成AI時代に問われる「作らない技術」とソフトウェアエンジニアリング~ | 小笹 佑京

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本セッションでは、生成AIの発展によって「何でも作れてしまう時代」において、エンジニアに必要なのは “何を作らないか” を判断する力だと語られました。
特に、開発スピードが向上する中で無闇に内製するのではなく、自社が価値を出すべき領域にフォーカスする姿勢が求められています。
ソフトウェアを「作る・売る」から「業務を肩代わりする存在(=AIエージェント)」として捉え直す必要があるという提案もあり、AI時代におけるソフトウェア設計の前提が大きく変わりつつあることを実感しました。
このセッションを通して、「何でも自分たちで作りたくなる」エンジニア的な衝動にブレーキをかけ、戦略的に “作らない選択” をすることの大切さに改めて気付かされました。AIエージェントが業務を巻き取っていく今後、エンジニアの役割は “すべてを作ること” ではなく、“構造的に選び・つなぎ・問い続けること”。技術への向き合い方を見直す、良いきっかけとなるセッションでした。

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他にも開催期間中にたくさんのセッションが企画されていました。詳しくはこちらをご覧ください!
 

おわりに

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今回のDevelopers Summit 2025 Summerでは、「エンジニアの事業貢献」をテーマに、技術だけでなくビジネスとの接点をどう築いていくかという深い問いが各セッションで投げかけられていました。
印象的だったのは、いずれの登壇者も “技術そのもの” よりも、“技術を通して何を実現するか” に重きを置いていたことです。エンジニアがより広い視野を持ち、事業の一員として振る舞うためのヒントに溢れていました。
 
日々の開発の中で「これって本当に価値ある仕事なんだろうか?」と立ち止まること、そしてその問いをチームで共有しながら、構造的に答えを探していくこと。そんな姿勢こそが、これからの時代に求められる “事業に貢献するエンジニア” の在り方なのかもしれません。
技術を深く掘るだけでなく、事業にどう価値を届けるかまでを考える視点を持ち帰ることができた、非常に学びの多いカンファレンスでした。
 
 

【7月30日開催】4社合同イベントのお知らせ

令和トラベルでは、技術的な知識や知見・成果を共有するLT会を毎月実施しています。発表テーマや令和トラベルに興味をお持ちいただいた方は、誰でも気軽に参加いただけます。

テーマは ”開発における生成AI

今回は『開発における生成AIフル活用事例』と題し、DeNA社/スマートバンク社/カウシェ社/令和トラベルが集まり、toCプロダクトに強みを持つ4社が生成AIをどう活用し体験価値や開発競争力を高めているのかについてLT形式で発表を行います。 令和トラベルのオフィスにてオフライン・オンラインのハイブリット開催となりますので、ご興味のある方はぜひご参加ください!
そのほか、毎月開催している技術発信イベントについては、connpass にてメンバー登録して最新情報をお見逃しなく!
 

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それでは次回のブログもお楽しみに!Have a nice trip ✈️

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