パスポートを持っていないQAエンジニアが旅行業界のスタートアップで挑戦を決めた理由

author
authorDisplayName
Yuki Masuyama
category
QA
mainImage
20250520_massu_001.png
published
published
publishedAt
May 20, 2025
slug
joining-entry-massu
tags
QA
入社エントリ
notion image
 
はじめまして。令和トラベルの増山裕貴 (massu) です。 2025年2月に入社し、旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のQAエンジニアを担当しています。
この記事では、私が令和トラベルに転職した経緯、そして入社からの3ヶ月間で取り組んできたことについてご紹介します。

自己紹介

まず、私の自己紹介です。
  • 2002年〜2019年: 個人で音楽を中心とした何でも屋。DJ、作編曲、イベント制作、ライター、フォトグラファーなど(この期間に3年ほどQAのアルバイトも経験しました)
  • 2020年〜2022年: 第三者検証会社でテスト・QAエンジニア
  • 2023年〜2025年1月: 大手人材会社でQAエンジニア
 
自由業からQAエンジニアに転身して今年で6年目、アルバイト期間も含めればQA経験は約9年になります。
前職では、立ち上げ期のQA組織にジョインし、求人サービスのQAエンジニアを担当していました。
担当していたHR-Techプロダクトは、ローンチから長い年月が経過し、機能が多く複雑なシステムでした。私は、このプロダクトが外部開発から内製開発へ段階的に移行していくフェーズから参画しました。
開発組織が小規模なチームから100名以上の大規模な体制へと変遷していく過程に関わってきました。
入社当初は開発チームからの依頼を受けてテスト業務を行う形でしたが、影響範囲が広く、納期も厳しいプロジェクトに対して、後工程でテストをするだけでは品質とスピードの両立が困難でした。
また、開発エンジニアの採用は順調に進む一方で、QAエンジニアは転職市場を見ても人数が少なく、採用競争が激化しており開発チームは増えていくが、QAエンジニアの人数はなかなか増えない状況でした。結果として、品質保証する体制が逼迫するという課題に直面していました。
そのため、開発チームと一緒に仕様策定から関わり、不具合を予防する施策を通じて手戻りを削減し、開発スピード向上を目指すために「インプロセスQA」へとシフトしました。さらに、『Agile Testing』というスクラムチームのクロスファンクショナルなメンバー全員が、継続的に品質保証に関与するためのマインドセットとアプローチの導入・推進のリードを担当してきました。 当時の自分の実力からすると難易度が高く難しい挑戦でしたが、貴重な経験をさせていただきました。前職でご一緒した皆さまには、この場を借りて心より御礼申し上げます。

どうして大企業からスタートアップへ?

主に2つあります。
  1. アーリーフェーズの会社で、密度の濃い経験を積みたかった 事業フェーズによって戦略・戦術など様々な変化が必要となると思います。その中で起こる困難がどのようなものなのかを知り、それを乗り越えていく経験をしたいと考えていました。特にIPO前後が見たかったので、創業間もなく成長性が高そうな会社を探していました。
  1. ビジネス視点を持ちながらエンジニアリングに携わる経験をしてみたかった これまで開発部門と事業部門が密接に関わる会社での勤務経験がなかったため、さらに事業へ寄り添ったエンジニアリングができる環境を求めていました。
上記の2点は、事業会社のエンジニアとしてキャリアを築くうえで、経験しておきたいことでした。これらの目的達成にはスタートアップ企業が最適だと思い、転職活動を開始しました。

令和トラベルとの出会い

QAエンジニアと開発者が協業するアプローチを模索する中で、勉強会へ参加して他社の取り組みや事例を収集していました。
情報収集をしていると令和トラベルの発信を目にする機会が多く、選考へ進む一年以上前から、成長しているスタートアップ企業として認知していました。 選考に進むキッカケは、求人媒体で令和トラベルからご連絡をいただいたことですが、既に知っていた企業だったので、前向きな気持ちでカジュアル面談に臨みました。
カジュアル面談後、令和トラベルのQAチームに関する資料などを拝見したのですが、当時私がQAについて考えていたことと非常に近いと感じたことを覚えています。

なぜ令和トラベルを選んだか

  • 事業の成長性 連続起業家であるCEOが計画的に事業をスケールさせている点も、非常に魅力的だと感じました。
  • 自信を持って勧められるプロダクト これまで、主にToB向けにビジネス課題を解決するプロダクト開発に携わってきました。エンジニアとして、いつかは家族や友人に「自分が開発した」と胸を張って紹介できるようなサービスを作りたいという思いをずっと抱いていました。NEWTを利用してみたところ、普段使い慣れたECサイトで日用品を購入するような感覚で、簡単にツアー予約の手前まで進めることができました。また、行きたい旅行を探すプロセスそのものも楽しいと感じました。純粋に、自分自身も一人のカスタマーとして利用したい、そして他の人にも勧めたいと思えるサービスでした。
  • MVVへの共感 令和トラベルのミッション、ビジョン、バリュー(MVV)にも深く共感しました。実は、最初にカジュアル面談を受けた時はValueに強く惹かれた一方で、Missionの『あたらしい旅行を、デザインする。』については噛み砕けていませんでした。しかし、選考が進む中で、海外旅行をめぐる多くの課題に対して、テクノロジーの力で向き合っていこうとする強い想いがあることに気づき、Missionの背景にも自然と共感が深まりました。
MVVの詳細はこちらからご確認いただけます。
notion image
notion image

旅が人生の転換点となった体験

実は、QAエンジニアという職種に就いたのも、旅先での出会いや経験による価値観の変化がきっかけで起こした行動が深く関わっています。
私は16歳のときに「音楽で生きていく」と決意し、DJの修行に明け暮れる日々を送りました。20代前半からは作曲家を目指して勉強や制作に没頭し、ほとんど引きこもりのような生活を送っていました(笑)
しかし、なかなか上手くはいかずに悩んでいた時期が続いていた20代半ば、東京から地方へIT技術者を派遣して育成するというプロジェクトを偶然見つけて、荒んでいた気持ちを癒すバカンスに行くような感覚で応募してみました。
全くの未経験ながら、沖縄の那覇市で数ヶ月間、住み込みでヘルプデスクの仕事に従事することになりました。見知らぬ土地で、それまでの日々の連続では出会うことなかった人々と関係を築きながら生活する中で、自分の価値観や考え方がいかに凝り固まっていたか、自分の可能性がもっと多様な方向に広がり始めていることに気づかされました。 宿泊先では、全国を旅しながらWeb制作で収入を得ている元メジャーミュージシャンの方と出会いました。当時の自分はその生き方に大きな影響を受け、自身も好きなこととは別に手に職をつけ、それによってむしろ好きなことにもっと取り組めるようになりたい、と考えるようになりました。
そこから東京に戻り、最初に就いた仕事が、大手第三者検証会社のテスターでした。(さらに紆余曲折を経て、30代からは会社員としてQAエンジニアの道に一本化することになります。詳しくはイベントなどでお会いした時に聞いてください!喜んで話します!)
そういった旅がきっかけでその後の人生が大きく変わるという原体験があったからこそ、当社のメッセージである「わたしたちは旅行が人生を豊かにしてくれると信じている」という価値観や、「あたらしい旅行を、デザインする。」というミッションに深く共感できました。これが、私が令和トラベルを選んだ最大の理由です。

入社後の取り組み

この3ヶ月間では、主に以下のことに取り組みました。
  • 充実したオンボーディングを通じて、令和トラベルのMVV、旅行ドメイン、プロダクト、社内の働き方や各UNIT(部門)の役割などをキャッチアップ
  • NEWTの検索体験向上やツアー販売エリア拡大を目的とした機能開発、入社早々に迎えた3周年セールに向けた新機能のQA
  • ツアー一覧画面で絞り込みを行う、カテゴリのChips機能
notion image
  • ホテルで前回絞り込んだ条件のフィルター機能
notion image
  • AI活用や自動化も含めた新たなQAプロセスの検討
    • 開発プロセスの中で、QAのタスクを可視化することから始め、ボトルネックとなってしまっている部分からアイデアをエンジニアと一緒に出し合っています。この入社エントリーを書いているタイミングでは、開発チーム内でテスト設計レビューを行っていく方針を立てたり、マニュアルテストをAIエージェントに代替すること・不具合チケット起票の自動化を試しています。
  • 開発合宿「Bet on Future Day vol.10」(https://engineering.reiwatravel.co.jp/blog/bet-on-future-day-2025-03)に参加。今回のイベントは、LangChainやDifyを用いたAIエージェントの作成がテーマでした。私自身はDifyを使ってFigmaのデザインからテスト分析・設計を最短で出来るように色々と試しながらChatbotを作成しました。個人的にキャッチアップしていた内容のアウトプットに集中して取り組めた良い時間でした。
notion image

入社して実際どうだったか

カスタマーファーストなカルチャーが根付いている

今回の転職軸には、「カスタマーを第一に考えた開発をしたい」という強い思いがありました。実際に令和トラベルで業務に携わる中で、「これはカスタマーにとってどうだろう?」という視点をもとに活発に議論し、リリース後には作った機能がカスタマー価値を最大化できているのかという観点でデータ分析を実施しています。Slackを眺めていても、色々なチャンネルでカスタマー体験についての議論や改善案の提案が日常的に行われているのを目にします。こういったことからカスタマーファーストなカルチャーが根付いていることを実感しました。

AIや新技術への投資に積極的で、会社が学習を後押ししてくれる

当社ではAI活用に早期から取り組んでいます。既に工数を大幅に削減したりと、AIエージェントを活用した開発で少しずつ効果を出しています。私自身も、Computer Useを用いたテスト実行の試みや、LLMでPR(プルリクエスト)からのテスト観点抽出、DifyとFigmaを連携させたテスト観点の自動生成など、さまざまなチャレンジをしています。QAチーム内でも”AIもくもく会”と称して、毎週1時間集まって自由にAIを触る時間を設けています。

開発メンバーとQAの信頼関係が構築されている

あるプロジェクトで、私が所属するNEWTチームとトラベルマネジメントシステムチームの共同プロジェクトを担当しました。このプロジェクトでは、ドメイン知識の理解と複雑な仕様の把握が求められるものでした。
困っていた時にバックエンドエンジニアに声を掛け、お互いの背景や解決に向けて必要な情報共有をしながら共通認識を構築したりと、難しいことはペアワークで見てもらいながらQAフェーズを進行することが出来ました。また、同じくQAエンジニアのaoさんが開発チーム向けに開催した探索的テストの勉強会は、QAチーム以外のメンバーにとっても新鮮かつすぐに業務に取り入れられる内容になっていて、大盛況でした。 これらの文化は、「QAエンジニアって何をする人なの?」という状態からスタートした方々が信頼関係を丁寧に築きながら、カスタマーへ迅速に価値を届けるために良いものを作ろうと行動や意思決定を積み重ねてきた結果だと感じています。
https://zenn.dev/reiwatravel/articles/1d7441181f876a

試用期間の3ヶ月は悩みも多かったです

大手企業からスタートアップという大胆な環境の変化に加え、入社以前からの経緯と今後の開発という2つのタイムラインをキャッチアップしつつ、目の前の業務にスピード感を意識しながら向き合い続けた3ヶ月でした。
とはいえ、困ったときには一緒に働くメンバーやマネージャーに気軽に相談できる環境があり、時には弱音を吐露しつつも、周囲のサポートを得ながら何とか前進できました。
入社4ヶ月目を迎え、まだまだプロダクトの仕様や意思決定の背景などキャッチアップに苦労する場面は少なくありませんが、半年後、一年後にはこうなっていたいという前向きな目標を思い描きながら、この挑戦的な環境を乗り越えていきたいと思っています。

変化し続ける品質に長期的な視点で挑み続ける

今後は、開発チームと協業しながらクオリティエンジニアリングを実践していくための仕組みを、より深化させていきたいと考えています。 QAエンジニアとして難しさを感じる点のひとつは、「品質」という抽象度の高い概念を扱うことです。品質は企業や事業フェーズによって「正解」は異なり、常に変化し続けるという現実に真摯に向き合う必要があります。
 
例えば、他社で非常に効果的だった取り組みが、自社でそのまま実行すると逆効果になる、ということは少なくないと思います。
だからこそ、当社に合ったQAの在り方、プロダクト組織内での役割やプロセスを常に問い続ける必要があると考えており、そこに難しさと大きなやりがいを感じています。
QAプロセスの改善は、短期的な効果は出にくく、多くの人を巻き込みながら、仮説検証を繰り返して洗練させていくものだと思っています。だからこそ、長期的な視点を持ってQAの在り方をより良い形にし、それを外部にも発信することで、令和トラベルのQAの価値を上げていきたいと考えています。

最後に伝えたい、83%側の私が、旅の価値を伝える理由

旅行と、私が人生の最も長い時間を投資してきた音楽。これらから得られる価値は、共通するものがあると感じています。
少しエモーショナルな表現になるかもしれませんが、私はこれらを「それがなくても生きてはいけるが、それがあるからこそ豊かに生きていける」といった定量では表せない体験価値を秘めたアクティビティだと捉えています。
NEWTを通じて、そのような価値を一人でも多くの方に体験していただきたいと思っています。そのために自分ができることとして、品質面からプロダクトを支え、“かんたん・おトク・えらべる・あんしん”な旅行を提供していきたいです。
と、少し格好つけたことを言いましたが、実は私自身、まだパスポートも持っていないライトな国内旅行派のカスタマーです(笑)。
2024年の統計では、日本人のパスポート保有率は約17%です。他の先進国と比べると、英国では80%、アメリカで50%と高い数字が出ているため、日本はかなり低い水準です。しかし、自分も83%側の“持っていない側”だからこそ、海外旅行に行くハードルの高さを理解できます。だからこそ、令和トラベルの一員として、旅の価値を届けていくことに挑戦していこうと考えています。

「NEWT Tech Talk」のお知らせ

令和トラベルでは、このように技術的な知識や知見・成果を共有するLT会を毎月実施しています。発表テーマや令和トラベルに興味をお持ちいただいた方は、誰でも気軽に参加いただけます。

5月27日開催のLT会は、”AI×プロダクト開発”がテーマ!

5月開催は『令和トラベル流 急成長を支えるAI × プロダクト開発の最前線』と題して、AI領域における組織としての取り組みと、BE/FE/App/QAの各チームから専門領域における実務レベルでのAI活用事例を紹介します。
移転後の新オフィスにてオンライン・オフラインのハイブリット開催となりますので、ご興味のある方はぜひご参加ください!
 
 
そのほか、毎月開催している技術発信イベントについては、connpass にてメンバー登録して最新情報をお見逃しなく!

令和トラベルでは一緒に働く仲間を募集しています

旅行の行き先や目的、楽しみ方は多種多様です。社内にもさまざまな旅行の楽しみ方をしているメンバーがいます。そんな多様なバックグラウンドを持つ集団だからこそ、一つの価値観に縛られずに、新しい旅行をデザインしていけるのだと信じています。
 
私たちに少しでも興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら、ぜひ令和トラベルの採用情報をチェックしてみてください!一緒に事業を成長させてくれる仲間を心からお待ちしています!
 
また当社には、『Travel Design』という、NEWTを使って海外ツアーに50%オフで行ける福利厚生があります。私自身もこの制度を利用して、初めての海外へ行って、プロダクト改善のタネを持ち帰る計画を立てています。海外旅行を趣味にしている方はもちろん、頻繁でなくても海外旅行に行く方や興味はあるが行ったことないという方もウェルカムです。
 
 
それでは次回のブログもお楽しみに!Have a nice trip ✈️

# QA

# 入社エントリ