
こんにちは、令和トラベルAndroidアプリエンジニアのやぎにいです。
この記事では、2025年7月9日に開催した1Day開発合宿『Bet on Future Day vol.11』について紹介します。
1日という限られた時間で、14チームがそれぞれ業務改善やAI活用に関するアウトプットを完成。社内ハッカソン形式で開催した「開発合宿」が、想像以上のアウトカムを生みました。
本記事では、全社の生産性を底上げする取り組みを、どう設計し、どうやり切ったのか?、そして実際にどういうソリューションを1日で生み出すことが出来たのかの一部を紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
Bet on Future Dayについて
Bet on Future Dayとは?
『Bet on Future Day』とは、エンジニアやデザイナー、PMメンバーで一日中ひたすら開発やプロダクトと向き合うための1Day合宿です。
通常業務とは異なり、自ら取り組むテーマを決め、合宿期間中に何かしらのアウトプットを生み出すことを目指します。日々の案件開発では着手できないけれど、『NEWT(ニュート)』の未来につながるR&Dや開発改善など、腰を据えて行う一日として隔月開催してきました。
※イベント名「Bet on Future Day」は、令和トラベルのが過去に掲げていたバリューのひとつ「Bet on Fire」からもじって、”この日は未来に活かされる取り組みに全員でベットしよう”という想いを込めて「Bet on Future Day」と命名しました。
直近開催した『Bet on Future Day』のイベントレポートも是非チェックしてみてください。
vol.9の開催レポート
vol.10の開催レポート
今回の取り組み
全体のテーマ:全社の生産性向上に直結するソリューションを、プロダクトチームが1日で生み出す
生成AIやコーディングに限らないAI Agentが発展してきた昨今、社内でも、業務効率化の進み具合に大きな差が見られるようになってきました。
そのなかで「A業務改善の余地は感じつつも、着手できていない状態」という課題感が全社で顕在化してきました。
今回の合宿をどう設計したか
企画の目的
社内の業務やコミュニケーションに潜む非効率を可視化し、プロダクトチームの力で生産性向上のソリューションを生み出すこと。
狙い
制約のなかでやり切ることで、「まず届ける」姿勢と、プロダクトチームの「越境力」を全社に広げる。技術をただ “使う” のではなく、課題に刺さる形で “届け切る” 力を磨く場としました。
裏テーマ
単なる技術による課題解決ではなく、エンジニア・デザイナー・PMといった職能の垣根を越えて全員が一丸となって主体的に課題に向き合い、1つのゴールに向かう姿勢を強化することも裏テーマとして持ちました。

これらを全てトレードオンする方法として、以下のようなポイントで企画・運営にしました。
- 少人数チーム編成
- 今回は1チームあたり3人での編成と少人数でのチーム編成を行い、全員がオーナーシップを持って行動せざるを得ない形で設計
- 各チームを編成する上でチームにおけるそれぞれのメンバーに対して「このチーム編成であればこのような活躍期待を持てそう」という観点で各チーム設計し、リーダー1名のアサインまで運営側で意図をもって編成
- ビジネスチームへの事前ヒアリング
- ビジネスチームへ各チームごとにヒアリングに臨み、課題の事前ワークとして工夫
- 日常業務に潜む大小問わない課題を開発者自身が引き出し、そこから開発合宿の1日という限られた時間で最大限にそれらを解決するための課題設定、アウトプットイメージの構築までを準備
- 加えて、ビジネスチームに対する相互理解のコミュニケーション促進も期待
- 開催後のデリバリー意識
- プロダクトは “作って終わり” ではなく、カスタマーに届けて初めて価値となる。そんな意識を前提に開発合宿の1日が終わった後に、ヒアリングと同様、ビジネスチームに対して成果物の共有、デリバリーまでを設計意図に基づき企画
合宿当日
準備を経て迎えた合宿当日、参加者全員が高い集中力で取り組みました。
今回は事前にチーム内で取り組む課題設定、その課題に対するアウトプットのイメージを一定議論の上準備していたため、当日は直接的にチームでコミュニケーションを取りながら効率的な開発がおこなわれていました。

当日の流れ
時間 | 概要 | 備考 |
~10:00 | 現地集合 | ㅤ |
10:00 〜 10:05 | オープニング | ㅤ |
10:05 〜 10:20 | 各チーム Try宣言 | 各チームのリーダーによる1分で開発するネタの共有をおこないます! |
10:20 〜 12:00 | 開発タイム | ㅤ |
12:00 〜 13:00 | ランチタイム | プロダクトチームとビジネスチームをシャッフルして中間成果物の進捗共有などでわいわい話しながらランチ! |
13:00 〜 17:45 | 開発タイム | ㅤ |
18:00 〜 18:50 | 成果報告発表 | ㅤ |
18:50 〜 19:00 | クロージング | ㅤ |
19:00 | 解散 | ㅤ |
会場
令和トラベルオフィス Inspire Lounge
5月上旬に新オフィスとなり、広いラウンジスペースが作られたため今回の開催は初のオフィススペースでの開催を行うことが出来ました。

当日の様子
現地に集合し、各チームリーダーからその日取り組む ”Try” の宣言を行ってから開発タイムがスタート。それぞれ分かれて事前に準備してきたテーマをやり切るために、気合いを入れて作業を進めました。

各チームさまざまな進め方でひたすら集中してアウトプットの作成を行いました。チームによってはオフラインメンバーと遠方在住のオンラインメンバーが混ざっているチームもあったため、オンラインツールを使いながら作業を分担して進めました。




プロダクト開発チームには、普段はPMやデザイナーとして業務を行い、実際にコーディングの機会が少ないメンバーもいます。今回の取り組みでは、そうしたメンバーがエンジニアのサポートを受けながら、Claude CodeなどのAIエージェントを活用して開発にチャレンジするチームも多数見られました。
成果発表
各チームでフォーカスした課題に対してクオリティの高いものを作ることが出来ました。最後の成果報告タイムではビジネスチームの方々も招待し、実際にオンライン、オフライン問わず参加していただきましたが、驚きの声や「早く業務で使いたい!」などのまさにテーマを大きく達成するような嬉しいフィードバックも頂くことが出来ました。
それでは、開発合宿で取り組んだ成果について、一部紹介します。
1. 国内外ホテル契約推進チーム
国内外でホテル等の旅行に関する様々な部分を推進するチームの課題感として、国外の担当者様とコミュニケーションを行う際に言語の壁で工数が高くなってしまっているという課題がありました。

課題に対するソリューションとして、とても使いやすいSlackアプリの形で実現し、翻訳の内部にはLLMも採用し、カジュアルな表現やスラング(笑いの表現である「w」を英語に翻訳したときに「lol」として翻訳されたり)も適切なコンテキストで翻訳してくれるアプリケーションを生み出しました。
LLMの適用とSlack統合によって、即業務で使えるレベルの翻訳アシスタントに仕上がりました。
2. 経理チーム
経理チームでは業務が細かく、実際の業務はPPさん(令和トラベルでは、業務委託メンバーをプロパートナーさん(通称:PPさん)と呼んでいます)にお願いしている状況で、マニュアルなどの仕組み化が進んでおらず、工数が増大してしまっていました。加えてそれらの業務の自動化を将来検討していく上でもマニュアル化が必要な状況でした。

その課題感に対して業務フローを録画した動画データからマニュアルをAIで生成するためのプロンプトを作成して、マニュアル作成のアシストドキュメントを作成しました。
AIの使い方もセットでまとめ、「プロンプトを使って上手くいかなかったケースなどの場合はこういうアプローチをすると上手くいったりする」などのTipsも一緒にまとめて提供しました。
3. 団体旅行チーム
団体旅行チームでは、参加者の情報管理や手配業務において、各種パスポート画像の確認や、氏名の条件に応じたフォーマット調整、最終的な内容照合といった工程を丁寧に手作業で行っています。
修学旅行や社員旅行など、多くのクライアント様からのご依頼が増えていく中で、こうした作業のボリュームも比例して拡大していき、より高い精度とスピードが求められる状況になっていました。


その状況に対し、このチームでは手配業務を一気通貫で支援する自動チェックツールを開発しました。それぞれの内容を自動的に読み取り、チェックまでを完結できる仕組みを構築しました。
実際の業務にすぐにでも装着し使い始められるような直球のアウトプットで、もしこのツールをリリースしたら使いたがる方が多いんじゃないか?という「クオリティ × スピード」を両立したアウトプットを生み出し、団体旅行チームからも以下のような非常に嬉しいコメントも頂けました。

今回の合宿を振り返って
今回の合宿では、これまでの開催形式とは異なり、事前に課題の調査・決定から要件整理までを行い、当日はその内容をもとに開発を進め、終了後には成果物のデリバリーまでを実施しました。
形式上は1日合宿ですが、実際には1日で収まりきらないほどのボリューム感があり、実際のプロダクト開発と同様のプロセスでソリューションを生み出す実践的な取り組みとなりました。
そんななかでも、日常業務の傍らで全員が主体的にアクションを取り、無事に最後までやり切ることができました。開催後には、開発合宿に参加したプロダクトメンバーと、成果物の提供先となるビジネスチームの双方にアンケートを実施しました。
プロダクトチームからの感想
今回の開催でのテーマにミートした手応えのあるポジティブな声が多く寄せられ、満足度は平均4.54と高評価をつけることができました。

ビジネスやコーポレートのチームの話をきくことで、本当に人力で頑張ってることが多く、そのような状況になってることを知れただけでもよかったです!
それと同時に、そういった課題感を日々改善していける、というのが理想形だと思うので、開発合宿のようなプロダクトチームに閉じた枠組みではなく、全社全員がやる、やれるようになる、みたいな取り組みになると良いと感じました!
特にエンジニアポジションだと普段業務をしているメンバーに直接課題を聞くような機会は少ないので、関係性構築のためにいい機会でした!
実際に役に立つものを作るために当日までに準備すべきことが多かったけど、思った以上にやり切れた感覚もあって、楽しくやれました!
ビジネスチームからの感想
ビジネスチーム側からは、満足度も4.88と高いスコアをもらい、今回のテーマを達成することができた嬉しいコメントを貰いました。

シンプルにですが、みなさん大変忙しい中で、こういった一日のチーム活動&発表までやりきる組織力がすごいなと思いました!
今回の企画の中で課題の本質を探し出すところから、相談に乗っていただきできないと思っていたことも解決できる糸口があるということに希望が持てました!
ビジネスチームとプロダクトチームが一緒になって課題を解決していくことができる、これこそが令和トラベルの強みだと感じているからです!
他にもさまざまな感想や意見がありましたが、全社を巻き込んでよりビジネスチームとプロダクトチームの距離をグッと縮め、生産性の向上ももちろんですが、この1日の取り組みを通して全社一体となってより強い組織・チームになれたのではないかと感じます。
今回の開発合宿は、単なる技術イベントではなく、“プロダクトで現場を変える” リアルな一歩でした。今後も私たちは、変化を恐れず、自ら未来をつくりにいくチームであり続けたいと思います。

イベントのお知らせ
令和トラベルでは、技術的な知識や知見・成果を共有するLT会を毎月実施しています。発表テーマや令和トラベルに興味をお持ちいただいた方は、ぜひご参加ください!
7月のテーマは、”DeNA・令和トラベル・スマートバンク・カウシェでの開発における生成AIフル活用事例”
7月の開催は、DeNA社、カウシェ社、スマートバンク社、令和トラベルの4社にて、それぞれの開発現場において生成AIをどう活用し、どのように体験価値や開発競争力を高めているのかを紹介します。
各社のCTO/VPoE/技術責任者が登壇。「何をどのような考えで開発に導入しているか」「プロダクトのどこにどのように導入しているか」「特に効果が出ていることや今後取り組もうとしていることはなにか」といったテーマを、実例と共に語っていただく予定です!
そのほか、毎月開催している技術発信イベントについては、connpass にてメンバー登録して最新情報をお見逃しなく!
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