こんにちは!令和トラベルQA Engineer 兼 Engineering Managerの @miisan です。
2024年8月2日(金)に、開発合宿「Bet on Future Day vol.8」を実施しました!
LLM/生成AIの最新スキルを全員でLearn NEWし、実際に”使われる”アウトプットを作ることをゴールに開発合宿を開催しました。
プロダクトチームも大きくなり、今回はオフラインでメンバー30名ほどが一同に集まりました!
この記事では、イベント当日の様子など、「Bet on Future Day vol.8」の一部始終を紹介します!ぜひ最後までご覧ください!
Bet on Future Dayについて
Bet on Future Dayとは?
「Bet on Future Day」とは、エンジニアやデザイナー、PMメンバーで一日中ひたすら開発やプロダクトと向き合うための1day合宿です。通常業務とは異なり、自ら取り組むテーマを決め、合宿期間中に何かしらのアウトプットを生み出すことを目指したイベントです。
この合宿では、日々の案件開発では着手できないが、令和トラベルの未来につながるR&Dや開発改善など、腰を据えて行う一日として隔月開催してきました。
これまで開催したBet on Future Dayレポートは以下のようにまとまっていますので、ぜひご覧ください。
vol.1の開催レポート
vol.2の開催レポート
vol.3の開催レポート
vol.6の開催レポート
vol.7の開催レポート
※イベント名「Bet on Future Day」は、令和トラベルのバリューの一つにあった「Bet on Fire」からもじって、”この日は未来に活かされる取り組みに全員でベットしよう”という想いを込めて「Bet on Future Day」と命名しました。
今回の取り組み
全体のテーマ:LLM/生成AIの最新スキルをLearn NEWし、実際に”使われる”アウトプットを作る
私たちは、テクノロジーを駆使し、あたらしい旅行体験を実現するためにプロダクト開発に取り組んでいます。
「あたらしい旅行を、デザインする。」という弊社のミッション実現に近づくべく、”AI x 旅行”の可能性を模索するために、今回はテーマをLLMと生成AIの活用にしました。
開発合宿の進め方
今回の開発合宿では、LLM(大規模言語モデル)と生成AIの活用に焦点を当てました。生成AIであれば、ツールは自由ですが、ノンエンジニアでも今後どんどん開発していけるように、今回は特に、”Dify”というノーコードのAIアプリケーション開発プラットフォームをお勧めツールとしました。
実際の流れ
- LLM/生成AIを活用して実現したいテーマの選定
- リリースおよび実用化を目指すために、まずPM中心にテーマ選定を行いました
- 実現したい要求の整理、優先順位の高いものをテーマに選べるようにPMにテーマの選定をお願いしました
- メンバーから取り組んでみたいテーマを公募
- 1で出たテーマ以外に、LLMを組み合わせて実現したいテーマを集めました
- メンバーから出てきたアイデアも非常に面白く、公募を募ったことは正解でした🙆
- 取り組みたいテーマごとにチーム編成を作る
- 1チーム、3~5名程度になるように運営側で調整しつつ、基本的には各自が取り組みたいテーマを選んでもらいました
- 少人数制にすることによって、全員がLLM/生成AIを活用できるようにしました
- 主なテーマは以下です
A.【コンテンツ生成系】ネットから情報集めてコンテンツを生成する
B.【DX系】業務サポートツール
C.【ドメイン知識:チェック系】手配内容チェック
D.【ドメイン知識:ワークフロー系】QAのテストケース生成
E.【R&D: Figma攻略】Figmaチェック / Figma仕様検索ツール
F.【R&D: 画像生成チャレンジ】POP&WIND画像作成
- Dify講座の開催
- MLチームメンバーによる、Dify講座を合宿前に基本編・応用編に分け開催しました
- この講座を開催することで、プロダクトチームメンバーはDifyを最低限マスターし、知識レベルを底上げすることができました💪
- こちらの講座で展開された資料は、外部にも公開しています。ぜひ皆さんも参考にしてください!有料級の内容、間違いなしです!笑
- チームごとにやること、事前作業の決定
- チームに分かれ、事前にどんな活用方法、実現性があるかを調査しました
- 開発合宿は1dayなので、限られた時間内に、ゴール達成に向け事前打ち合わせや活用ツールの理解、ワークフローのキャッチアップなどを行いました
合宿当日
準備を経て迎えた合宿当日、参加者全員が高い集中力で取り組みました。
オフラインでのグループワークにより、直接的なコミュニケーションと協力が可能となり、効率的な開発が行われました。
当日の流れ
時間 | 概要 | 備考 |
〜10:00 | 現地集合 | ㅤ |
10:00〜12:00 | 開発タイム | 8月入社の入社者へのWelcomコーナーからスタート! |
12:00〜13:00 | ランチ | グループに分かれてランチへ行く |
13:00〜17:00 | 開発タイム | もくもくタイム |
17:00〜17:50 | 発表 | 各チームからの成果発表!
Zoomを繋いで、全社向けに |
17:50〜18:00 | 写真撮影 | すぐ撤収! |
19:00~ | グレープNight (勉強会・懇親会) @オフィス | 社内勉強会でチームビルディング |
会場
- SPOT恵比寿駅上の南交差点カド
- 前回に引き続き、広めの会場に決定!
当日の様子
現地に集合し、各チームで分かれ、開発スタート!
事前に準備してきた内容をふまえ、もくもく・ワイワイ作業を進めていきました。
ボードを使ったチーム内議論や、MLチームのメンバーからアドバイスを受けたりと、オフラインならではのディスカッションやコミュニケーションもうまれました。
成果発表
いよいよ成果発表です。実際に”使われる”アウトプットは1日でうまれたのか!?
結論としては、今回取り組んだテーマの中で、本当にリリースできる機能も生まれました。今後のNEWTのアップデートをお楽しみに!
それでは、開発合宿で取り組んだ成果について、一部紹介します。
1. QA関連の取り組み
QAの業務を改善・サポートするための取り組みに挑戦しました!
具体的には大きく4つのアウトプットを実現できました。
- 自動テストのコードを生成する
- LPページのQAを自動チェックする
- 過去のテスト観点と仕様を参照し、テスト観点を生成する
- 過去の不具合から、実装時に考慮すべきポイントと期待値を教えてくれる
QAメンバー、Backendメンバー、デザイナーが3つのチームに分かれて実装しました。
こちらはQAメンバーとエンジニア中心に行った”過去のテスト観点と仕様を参照し、テスト観点を生成する”Difyです。過去の技術ドキュメントをDifyのRAG機能で抽出し、それをもとにLLMにとても実践的なアウトプットを出させています。プロンプトのこだわりが、本職QAならではの内容となっておりさすがです。
また、こちらはデザイナー&QAチームが行った”LPページのQAを自動チェックする”のDifyのワークフローです。なんとこのチーム、エンジニアメンバーがいないにもかかわらず、実際に業務で使えるツールをつくることができました!
どれも実用性が高いアウトプットになったので、さらに精度を上げて、日々の業務に活用していく予定です。
2. 業務サポートツールの開発
お客様に提供する実際のクリエイティブやコンテンツ、その成果物のクオリティを向上させるツールを作成するチームも複数いました。
- 観光スポット紹介ページ自動生成
- ツアータイトル自動生成
- デザインのための競合調査比較ツール
ツアータイトルなどは、弊社内ですべてツアー企画チームが検討しているのですが、ツアー本数が増えるたびに、よりわかりやすいアウトプット、それを実際に作る工数が増えていくため、AIによってクオリティの高いツアータイトルの提案ができることを目指しました。
タイトル生成したいツアーの特徴と似た過去のツアーの内容を取得したり、似ている過去のツアーのタイトルを参考に、ツアータイトルの提案をしてくれます。
また、観光スポット紹介ページの自動生成を目指したチームは、Google MapsのスポットAPIなどから取得した情報などを基に、AIを活用してプロンプトを工夫しクオリティの高いコンテンツを自動生成し、お客様の旅の参考にしていただくコンテンツを作ることを目指しました。
最終的にでてきた成果物は、プロの目線でチェックしクオリティをさらに向上させ、実際に提供していく形を今後目指していくそうです!
3. NEWTおよびトラベルマネジメントシステムの機能開発
あたらしい機能としての可能性を模索してくれたチームもありました!
- 検索のあたらしい機能
- 手配内容チェック
あたらしい検索体験については、リリースをお待ちください…!!
今回の合宿を振り返って
アンケート結果
参加者の皆さんにアンケートを実施したところ、驚くべき結果が出ました。早速、その内容を見ていきましょう!
1. Dify講座の評価
まず、事前に開催したDify講座、大好評でした。
参加者の約80%が講座内容に「満足」または「非常に満足」と回答してくれました。
参加者の声も聞いてみましょう
- 神資料を展開していただいてめちゃめちゃ勉強になりました
- 講座としては幅広くDifyがわかりました!細かいところは質問で解決できたのでちょうど良い感じだったと思います!
- 初級編だけでもハンズオン形式だとついて行きやすかったかもです
ちょっと今回時間が短くて一方向になっちゃったところは、改善の余地がありそうでしたが、皆さん、満足度が高く、熱心に学んでくれたみたいです。
2. イベントの目的達成度
さて、今回のイベントの目的である「LLM/生成AIの最新スキルを学び、実際に”使われる”アウトプットを作る」は達成できたでしょうか?
(1: 全然達成できなかった ←→ 5:完璧に達成できた)
結果は...約60%の参加者が「達成できた」または「非常に達成できた」と回答してくれました!!
具体的な成果も見てみましょう:
- 業務システムへの実装
- 実際にNeMS(基盤システム)上で動くものまで実装できました!
- 業務に使えそうなツールできた。LLMへの抵抗感がなくなった
- 業務効率化
- スポットページ(お客さまが参考にできる観光スポット紹介ページ)の数爆増させることができた!
- ほとんど今日初めて1から触ったのにちゃんと目的のチェックができるツールができた
- 新しい視点の獲得
- Difyがあれば、APIを叩くというエンジニア技術がなくても実際にワークフローを組む力があれば、同等の"剣"を得られるなーと思った
- 業務ツールが欲しくなったときに作れるイメージがつきました
参加者の皆さんは、それぞれの業務や興味に合わせて、AIツールの活用方法を見出していました。
一方で、
- 実際に業務に組み込むレベルまでやるの難しいなと思った。ちっちゃいやつを自動化する方が自分には向いてそう
- どうしても精度まで求めると1日じゃ実用化は厳しいなと感じた
という現実的な意見もあり、参加者それぞれが自分なりの活用方法を模索している様子が伺えますね。
3. AIスキルの向上と今後の活用意欲
このイベントを通じて、みなさんのAIスキルはどれくらい向上したでしょうか?
(1: 全く向上しなかった ←→ 5:大きく向上した)
なんと、約70%の参加者がAIツール開発に関するスキルが「向上した」または「大きく向上した」と回答してくれました!すごい成果。
さらに、今後のAI活用についても聞いてみました:
約65%が「積極的に業務に活用していく予定」約30%が「機会があれば活用してみたい」、ということで、ほぼ100%今後のAI活用に対してとても前向きでいいですね!
具体的な活用案:
- 業務に関する調査
- デザインの他社調査のときに使用したい
- 情報作成やスクレイピングと示唆出しなど有効活用できそうな幅がかなりあるなーと思った
- データ分析や情報まとめ:
- 非構造化データからの情報抽出機としてはそれなりに活用できそうです
- データ分析、グラフ化みたいなところをやりたい
- Figmaでまとめた内容をSlackに送る時に、毎回文章作成しているの地味に手間なので、なんかいい感じに出力してくれたらいいなあ
- 品質管理:
- SALEで出すツアーに間違いは許されないので、担当者にもツールを共有し活用してもらいたい
- QAレビューや観点補完
- 仕様に関するドキュメントを充実させてテストケースの生成などをできるようにしたい
- 実際の機能改善/コンテンツ生成:
- ツアーライティングの自動生成
- 推薦システム、ベクトル検索
- あいまいな検索機能
みなさんの回答を見ていると、「AIで何ができるかな?」というワクワク感が伝わってきて、こちまらで楽しくなっちゃいます。これからの令和トラベル、AIの力でどんどん進化していきそうですね。
4. 良かった点と改善点
最後に、イベントの良かった点と改善点も聞いてみました。
良かった点として挙げられたのは:
- チーム制での取り組み / 事前準備と勉強会の実施 / 質問しやすい環境
みなさん、チームワークを発揮できたようです!
改善点としては:
- 準備時間の考慮 / より実用的な成果を出すための時間確保 / 各チームにリーダーを設置し、進行をスムーズに
これらの意見、次回のイベントに活かしていきますね!
このアンケート結果を見ると、Dify講座とBOFイベントは大成功だったと言えそうです!参加者のみなさんのAIスキルが向上し、実践的な学習ができたことがわかりました。
多くの方が今後の業務でAIを積極的に活用したいと考えている雰囲気を醸成することができ、開発合宿の裏テーマも達成できました!
最後に
今回で8回目となる「Bet on Future Day」でしたが、今回は”実用化”を重視しました。
技術R&Dの促進と、プロダクトチームのAIスキルのアップデートは十分に達成できた1day合宿だったと感じています。
さらに普段はリモートでの作業が多く、また普段は少人数で自律的に決まったチームと開発しているため、普段あまり関わらないメンバーとチームを組むことで、あたらしいコミュニケーションもうまれました。
最後に、Dify講座などを開催し、プロダクトチーム全体のAIスキル向上に尽力してくださっているMLチームリーダーの宮田に第8回開発合宿の感想を伺いました!
📍MLチームリーダー宮田より
「今日はめちゃよかったです!実際に使えるサービスをみんな作ってて、それをAIを絡めてみんな作ってるということが楽しかったですね!色々ハッカソン企画などありますが、令和トラベルのBOF企画は毎回リアルな感じのテーマ、本当に業務に使えるというのがもともと特徴ですが、今回もその感じで良かったです!
AI開発、特にDifyなどノーコードツールに対する解像度も、会場でいろんなところから聞こえてくる話や議論を耳にする感じ、圧倒的にリアルに腹落ちできてる感じがでていたきがします。
個人的には、一緒にここ1−2ヶ月仕事をしてきた、マガジン記事自動化チームのPM Fujiさんが、”みやっちさんがやってきたことが、今回かなりわかった”というセリフが個人的にうれしかったです!PMとしては今まで実際のAI開発部分のことに関しては、みやっちさんにまかせます!という感じの役割分担で、それによってもちろん迅速な開発ができてましたが、やっぱりAI開発においては、企画側やプロの知識をもっているひとたちが、企画やSEOの知識を持ってるプロ自身がカスタマイズできると圧倒的に改善スピードがあがるかも、と思っていたのでよかったなと!
これからめちゃくちゃ改善がすすみどんどん良くなっていくだろうなと思って楽しみ!他のチームもQAツールだったり、ちょっとしたいつもの定常めんどくさい業務をDifyでつくってくれた人だったり、これからも使う感じのイメージが持てる話が多くて最高でした。これからの令和トラベルやばい…!!!」
今後も様々な開催形式やテーマを模索しながら、定期的に開催していく予定です。
これからも日々の足元の業務だけでなく、R&D的な活動や中長期的なエンジニアリング投資など、本イベントを通して、引き続きより大胆な技術的アプローチを続けていきます。そして、NEWTへの貢献だけでなく、社内および旅行産業のデジタル化に向け、プロダクトチームは今後も挑戦していきます!
テクノロジーを駆使し、旅行の未来を全力で創っていきます!
みなさん、本当にお疲れ様でした!!!
令和トラベルでは一緒に働く仲間を募集しています
このレポートを通して、少しでも令和トラベルの開発チームの雰囲気や魅力を感じていただけたら嬉しいです。今後も、このようなイベントがあった際には発信していく予定です。
また一緒に働く仲間もまだまだ募集中なので、もし令和トラベル・NEWTに興味をもっていただけた方はお気軽にご連絡ください。メンバー全員でお待ちしております!
さらに定期的に令和トラベルの技術や組織に関する情報発信を開催予定です。connpass にてメンバー登録して最新情報をお見逃しなく!
それでは次回のブログもお楽しみに!Have a nice trip!!